俺があれほどの思いをして体験したのにも係わらず、こうして文字として起こしてみるとなんと呆気ないもののようだ。ここに書かれた話は俺が経験した人生の一瞬である。もしくは、俺が俺としての価値を失った瞬間から赤の他人としての価値を奪い取るまでの話だ。

おそらく、君達にはこの文字が何処の文化で一体何が書いてあるのかも分からないだろう。だけれどそれでいい。これは、俺が昔の自分を決して忘れないように、俺の価値を取り戻す為に書かれたもの。知らなくていいことも、世の中にはあるのだから。
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