目の前で白石がこけた。足を滑らせて地面に顔をぶつけた。

これが笑いを取る為にわざとこけたんなら俺だって鬼じゃない、思いっきり笑ってやるけど相手はあの白石だ。白石は自分から笑いをとるようなことをしようとはしないだろう。

つまりこれは、うっかり?

「し、白石…? 大丈夫か?」
「……おん。おおきに謙也くん」

白石は態勢を立て直して、差し出した俺の手を取り立ち上がった。案外平然としているからそこまで痛くは無かったようだ。目立った傷も無かったので俺はほっと息をついた。

その後、急いでいるから、とまた走り去って行った白石。俺はというと先程の光景があまりにもあちゃあなもんだったので暫くここにいた。偶然にも他に人はいなかったけれど俺は見てたんや。白石が転ぶところを!

……でも絶対に誰にも言わんでおこう。そう心に決めた俺であった。


衝撃的瞬間
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