う (1/3)
「幸村センパイ、また英語追試っすよ…」
「また? 赤也、本当に勉強してるの?」
「ひ、ひどいっす幸村センパイ…」

放課後、部活が始まる前に駆け寄って心の涙を流す赤也を(心の中で)応援していると、それを見ていた蓮二が非常に余計な一言を仰ってくれた。

「精市が、赤也に教えたらどうだ?」



我が立海大付属中は教育、特に英語に関しては厳しく教えられる。毎週毎週英単語のテストが有り、一定の点数を取らないと学期末にまとめて追試が行われるシステムで、聞いたところによると赤也は今まで行われたテストで全て赤点を取るというすさまじい事態であった。ちなみに俺は全部満点だから安心して欲しい。

ということで蓮二の一言で週に二回、部活の無い日の放課後に俺の英単語講座が開かれることになったのだが、その回数が増えるに比例して真田の機嫌も悪くなっていったのである。