い (1/3)
折角の放課後なのに雨が降っている。これで四日連続室内での部活で、赤也なんかはまた出来ないのかよと昨日愚痴を言っていたが、残念ながら今日は体育館も教室も廊下も取れなかったからミーティングだけだ。つまんないなあと思いながら部室に赴くと、何故かいつもならば一番に来ているはずの真田以外全員揃っていた。

「真田は?」
「委員会のことで先生と相談があるから遅くなる、と仰っていましたよ」

何故か円形に並べられた椅子の、空いている二つのうち上座に座る。俺は遠慮なんてしない主義だ。雨降ってるしさっさと帰りたいのに真田って奴はいつも肝心なときに居ないんだからくそぅ。

「全く、真田の癖に俺達を待たせるなんて…」

そうだ、いつもいつも真田は読める空気を読まずにずんずんと突き進む。その癖読まなくてもよい空気は何故か読む馬鹿みたいな奴だった。今日は雨だったら、次の試合のオーダーを決めるからさっさと来いって言っ(脅し)てたのに。しかも今日はずっと楽しみにしていたドラマの初回だからさっさと帰りたかったのに。

「腹立ったから、」
「……から?」

渦巻く苛々も最高潮に達したので、俺は外に俺の癇癪が漏れないように注意を払いつつ言った。

「真田の秘密を全部暴露してやる」