い (2/3)
「大丈夫だったかい? アイツに随分触られていたけど」
「…っひ、モロイってば近い近い」

ベクター機格納庫に下りると、すぐそこに待機していたモロイは色々とかなりやばい近さまで(此処にスオミ先生が居たらモロイに殴りかかっているレベルまで)迫ってきた。いやうん、イケメンなのは結構なんだけれどもね、うん、ええと、私箱入りだからそういうの耐性ないんだって。

若干私から離れたモロイに安堵すると、ぐうと鳴る私のおなかに彼は優しく笑った。

「そういえば、お昼まだだよな。よかったら一緒に食べないか?」
「え、うん。どこで食べる? 食堂? それとも外出る?」

此処最近はずっと学園に篭っていたから外で優雅にイケメンとランチもいいかもしれない。ああでも、今日の食堂のランチがおいしそうだったんだよなぁ。自分で言いながらも迷っている私に、モロイは一つ提案する。

「それじゃあジャンケンしよう。俺が勝ったら外に食べに行く、名前が勝ったら食堂」
「…よし、いいよ。じゃーんけーん、」



その光景を、ミコノ・アマタと一緒に格納庫の隅で見ていたゼシカはひっそりと呟く。

「…何で気付かないのかな、名前」
「恋人同士みたいだよね、あの二人」
「お幸せに、だね」

名字名前がモロイによって攻略されるのも、最早時間の問題なのかもしれない。


そろそろ気付いて!
愛しいあの娘は超のつく鈍感でした