マンションの屋上から空高く落ちた後、私の体は地球の偉大な引力と硬いアスファルトの地面によってぐしゃりと押し潰された。流れ出る血が盛大にコンクリートを汚してゆく。
女は、盛大に顔を引き攣らせて叫んだ。喉の奥底から全力で搾り出したような、酷い声だった。



「なん・・・・・・!? あい・・・・・・けない・・・よ!」



彼女は私のこの惨状をみると満足した様子で視界から消える。私はひとりぼっち、取り残された。

死ぬの、か。



「・・・・・・」



納得なんてできなかった。
死ぬなんて嫌だ、もっと生きたい。お母さんにもお父さんにも会いたい、もっと知りたい読みたい見たい聞きたい触りたい話したい、けれど奪われてゆく呼吸と意識に私は抗えない。



それならば私は、“次”に私の全てを託そう。
私の夢を。私の希望を。

私の、人生を。



これは人生の終焉を迎えた少女に彼女の全てを託されたかれのおはなし。
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