謙也くんの頬から鳴った軽く良い音に、皆の視線が集中するのが分かる。皆がそろってえっ、と驚いたように反応したけど気にしない気にしない。 「痛っ! なんで叩くんや白石!」 「そうでもせんと謙也くん、俺の話聞いてくれへんやろ? 謙也くん、焦りすぎや」 そう言うと、彼はうっと息を詰まらせたのでどうやら自覚はあったらしい。急ぐにも程度がある。そう言外に告げると、謙也くんはせやかて、とその焦りを滲ませた表情で言った。 「勝たんとこれで、終わりやないか!」 「せやから今更俺の真似しても勝てへん言うとるやろアホか!」 |