幾日か経ったある日、あれだけ避けていた財前が突然俺の前に現れた。背後には保護者面した謙也くんの姿がある。ここ数日は何故か俺が自主練して帰る時間と同じ頃にふと謙也くんも現れてなんとなく一緒に帰っていたのだが結局何故だったのだろうか。



「あ、あの、白石部長!」

「おん、何や?」



平然を気取っているが心の内は何を言われるのかとびくびくしている。まあ彼も同じような顔をしているのでそれは無いか。平常心平常心。



「俺と、試合してくれませんか!?」

「え、ええけど」



話の流れが全く分からずに謙也くんの方を見ると、にやりと(計画通り)笑っていた。どうやら知らなかったのは俺だけだったようです。
| |
- ナノ -