*微人間不信な冬樹成り代わりをケロロが更生させる話 タイトル通り。ケロロとか懐かしすぎた。二十巻くらいまでは集めてたんだけどねえ。 成代冬樹は原作知らない。地の文一人称私な男。 いつも家の玄関へ通じる扉のノブに手を掛け捻ると面倒だという嫌気が私を襲う。ただいま、おかりなさい。そのような言葉のやり取りなど優しいものが苦手であるこの私に通常の人並みな感性、もとい自分の家族へ向けるような愛情を求めるのは酷であることをお分かり戴けるだろうか。しかし優しい優しい我が家族に、私に愛をくれるなと云うのはひどく傷つけるのだろう、その心を。 まあとどのつまり私の生態について語るとするならば、未確認飛行物体をはじめとするユーマやその他諸々には非常に興味を抱いている癖にその情を人間に向けることの出来ないというだけなのだが。 「下らない。」 もう一度ノブを捻って今度こそ家に帰着するとやはり予想していた通りと言うべきか姉の日向夏美は怒った様相で私を睨んだ。既に時刻は七時を過ぎている。ちなみに弁解する余地があるならば今日はたまたま携帯を所持しておらず、そして運の悪いことに家の最寄り駅と学校の最寄り駅の双方で謀ったかのように人身事故が起きたのであって決して私は非行には走っていない。 「冬樹、遅かったじゃない?」 この冬樹というのは今の私を表す最も手っ取り早い単語である。日向冬樹。私の名前はそれだ。 「人身事故があって、しかも携帯持ってなかったから連絡できなかったんだ。」 「もう、携帯を“携帯”しなくてどうするのよ。」 どうやらお叱りは免れたようだ。音で表現するならばぷんすか、といった怒り具合である我が姉君はリビングに向かう道中私の名を呼ぶとこちらを振り返らずに要請した。 「冬樹、ボケガエル達連れてきて頂戴。」 「……うん。」 我が家にはカエル型宇宙人が共存している。家事が得意な宇宙人ボケガエルもといケロロ軍曹は一年前から我が家に居候の身だ。私はそのへっぽこ宇宙人の階級から軍曹と呼んでいるのだが、彼は宇宙人にもかかわらず私以上に地球ライフをエンジョイしているリア充である。 軍曹は地下の一部屋を与えられている。そこはどうやら幽霊が出ると家族間で噂の部屋なのだが軍曹は至って気に入っているようだった。私はその部屋のドアを叩いて御飯だよ、と叫んだ。だが返事は無い。まあそれは今にはじまったことではない(そもそもこの部屋は軍曹が勝手に防音に拵えてしまったらしいので声が届かないのは当然のことだ)ので仕方ないがもう一度入るよ、と届くはず無い声をかけてからノブを捻って引いたのだが。 comment?? blog top『ケロロ軍曹と成代冬樹氏』2013/07/05 Fri 21:51 |