*連載の成代リヴァイさんで未来設定とか没とか
ネタバレとかそんな高尚なもんじゃない
関係ないけどドラマチックなのかドラマティックなのかで迷う


その少年は巨人化するらしい。エルヴィンに聞かされたのはその一点のみだったので、どんな性格でどんな容姿をしているのかなんて全く想像がつかなく、ただとてもそら恐ろしい奴なのだと勝手に頭の中で妄想していたのだが。
「ただのガキじゃないか」
うっかり漏れた本音は同席していたエルヴィンと檻の向こうの少年にも聞かれていたらしく、エルヴィンは俺を嗜めるような目で見た。少年はというと今の状況が全く理解できていないようで、俺達二人をじいっと食い入るように見つめている。
ただ、悪い奴では無いという確信があった。あまり理由にはならないのだが、その瞳が曇り無く輝く金色だったからだ。既視感と云うべきそれは彼の金色を捉えた。確かに見たことのある目だ。


「いいから黙って全部俺に投資しろ!」
ここ笑うところですか?
珍しく表情筋が活躍しそうになるのを堪えて、手擦りを乗り越え遠慮なくエレンの顔を蹴った。これは絶対痛いだろうなあと申し訳なく思いつつもここで遠慮をしていたらそれこそ彼自身の未来が無いので思いっきり蹴り踏んだが、ふと強い殺気を感じて観衆を向くと、女の子に恐ろしいほど睨まれてしまった。女って怖いな。
それにしてもコイツ、ガキとは思えないくらい目が据わっている。それが腹立たしく、もう一回遠慮なく蹴ると殺気が強くなった。コイツの馴染みは、コイツが人間だろうと化け物だろうと関係なく愛することができるらしい。ここの奴ら全員そうだったらよかったんだけどなあと思いつつ蹴った。痛いよな、ごめん。


選んだのではなく、選ばされた。あの男によって俺のこの世界での道はただ一つに定められてしまった。そもそもつい一ヶ月前まで列記とした日本人だった俺が初めて本物の刃を持ってあんな気違いと闘うことができると思った方が馬鹿なんだ。エルヴィンは俺を背に庇うように腕を振るっている。きっとその目は絶えることなく輝いているのだろう。情けないと唇を噛むとしばらくしてぬるりと血の味が歯茎を伝う。
エルヴィンは俺を信じているから庇うのだ。俺の意思でこの体は動かないと云うのに奴は真正の馬鹿だ。一人また一人と事切れて行く中で彼はあろうことか役に立たない俺を守っている。
本当に、ばかだ。口の中一杯になった血の感触が気持ち悪かった。目の前にで悲劇が起こっているのに何も出来ない自分が憎かった。この手は何の為に在る? この足は何の為に在る? 誰が俺をここまで連れてきたんだ。 ……あの馬鹿に他ならないじゃないか。
無意識に刃を手に取った。あいつに報いる為。いま戦う理由はそれで十分だった。
/三章第四話没
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『ドラマチック詰め』2013/06/08 Sat 22:26
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