*リズム怪盗Rとナナシさん/アプリコットの憂鬱


朝の空いているうちにノートルダム大聖堂を観に行こうと足を運んだが、それも失敗だったと悟る。遠目からステンドグラスを眺めていると、突然大仰に扉が開き変な集団が流れ込むように入ってきたのだ。
「(コスプレ?)」
その集団の先頭に居た、頭を隠すような兜を身につけた男は、祭壇の近くでステンドグラスを眺めていた若い男女を取り囲んだ。龍の玉座だか聞いたことの無い名称で争っているが、もしかしてアマチュア映画の撮影とかなのだろうか。
しかし、コスプレ集団は青年を本気で遣ろうとしている。数の暴力とはまさにこのことだが、青年はその素早い身のこなしで避けている。そして彼らは呆然と見ている私に気付く様子も無い。
「...By any chance,私のことに気付いていないのか?」
そんな馬鹿な、とは思ったものの、彼らが気付いているのならば、何かしらリアクションを起こすだろう。今のうちに逃げようかと思ったが、気付かれたら一巻の終わりである。ということで、私は隅の方で蹲って時が過ぎるのを待つほかに無かった。
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『ナナシさんと怪盗R』2013/03/11 Mon 06:54
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