※高専時代

「悟、ホワイトデー売り場行こ」
「は？ねだるんならもっとうまくねだってみてよ」
「ちがうよ。買い物するの」
「何欲しいわけ」
「わかんない。硝子先輩がバレンタインの時より色んなお菓子売ってるよって言ってた」
「そういえばバレンタインの時、硝子と買い物行ったんだっけ」
「うん。悟にお土産買ってきたでしょ」
「お土産……そこはバレンタインチョコって言っとかない？」
「んん？バレンタインの日に渡すチョコは総じてバレンタインチョコに違いないと思うんだけど…？」
「全くもって情緒が育ってねーな紗希乃」
「うーん。知識が情緒と結びつくには環境が大切っぽいよね。つまり私は今勉強中」
「ほう。ということはホワイトデー売り場に勉強しに行くと」
「その通り。いろいろ教えてね、先生」
「先生って呼ばれるの悪くないかも」
「フフ。それでは先生、ホワイトデー売り場を目指していざ参りましょう」
「へいへい。あ、あそこ行こ。でっかい板チョコ量り売りしてる専門店が出店してるとこ」
「デパ地下とやらで売ってるやつね。先月も思ってたんだけど、6階とか7階で開催してるバレンタインとホワイトデーの特設売り場にさ、デパ地下専門店が進出してくるのってすごいよね」
「すご……くなくない？普通じゃね。ただのイベント出店でしょ」
「そうなの？地下で売ってることにプレミア感出してるんじゃないの？」
「俺は呪術師だからわかるわけないじゃん」
「なんだ〜」
「紗希乃は何食べたい？」
「きれいなやつ食べたいな」