2/14と3/14のおはなし

鋼鐵塚蛍



「紗希乃はいるか」
「はーい、ちょっと待って下さいな。今戻るから」
「早くしろよ」
「もう。上がるのはいいけれど、砂をちゃんとはたいてからにしてくれる?」
「お前が出てくるのが遅ぇんだ。すぐに出てきたらさっさと用事を済まして出てくだろ」
「はいはい。それで今日は一体どうしたの」
「ん」
「なに?」
「ん!」
「はあ。お団子屋さんの包み……?」
「食え」
「どうしてこうも唐突なのかしら。口下手なんてもんじゃないわ。くちがひょっとこ面に縫い付けられでもしたみたい」
「前に土産が欲しいって言ってたろう」
「……確かに言った気がする」
「だから持ってきたんだよ」
「まあ、忘れてなかっただけ良しとしましょうか。ありがとうね、お茶でも淹れましょう」
「うんと熱いのにしてくれ」
「はいはい」
「そういやァ、忘れてた」
「なあに」
「これもあった」
「……金平糖?」
「あんなでけえ大玉よりちまちました小粒でも舐めてろ」
「全くもう、素直じゃないのねえ蛍ちゃん」

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