2/14と3/14のおはなし

降谷零



※付き合ってない時

「えっ、薔薇??」
「今日は何日か忘れたのかい」
「あー、3月14日……うそ…バレンタインからもうすでに1か月経過してるんです……?」
「恐ろしいことにな。はい、お返し」
「わーいありがとうございます!」
「それとこっちもどうぞ」
「なんですかこれ?かわいい箱に入ってるけど……」
「カップケーキだよ。昨日作ったんだ」
「えっ黒の組織壊滅させたら本格的にパティシエ目指すおつもりですか?」
「流石にプロと比べたら粗が目立つよ。ほら、こことか」
「わかんない…全っ然わかんないです……」
「そんなこと言って吉川だって料理はそこそこできるじゃないか」
「自分で消費するための料理と誰かに捧げる料理は存在位置がそもそも違いますって」
「前に食べた時のは普通に美味しかったけど?」
「そりゃあ降谷さんに食べさせるものは気を遣うに決まってるでしょう!」
「まぁそれもそうか。俺もかなり考えてこれを作ったし」
「……考えて?」
「そう。たくさん考えたんだ」
「あの、降谷さん。つかぬことをお尋ねしますが先月の薔薇はいかが処理されましたでしょうか」
「ん?全部ブリザーブドフラワーにして家に飾ってるよ」
「ぎゃああ公開処刑されてる」
「はい、弁明あるならどうぞ?」
「うっ、あの、ご存知の通りわたしは友達もおらず毎日スーツばっかで着飾ることもせずそういうロマンチックな世界とは程遠い日々を送っているわけでして……本数に意味あることなんか忘れてましたし降谷さんに薔薇を買ったのもたまたま通りかかった生花店で見つけて綺麗だなって思ったからでして……」
「長い。ひと言にして」
「うわーん!本数とか気にしてなかったので深い意味はありませんっ!」
「ホォー……成程ね。まあ、そんなことだろうと思ってたけど」
「ふ、降谷さん……?」
「うん。俺はたくさん考えた上で吉川にこれを贈ってるから」
「えっ」
「覚悟しておくように」

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