蒼の双眸(FGO×DC)

B


「キミは人をその人たらしめるものとは一体何だと思うかね」

なに、特別難しい問いをしているつもりはこれっぽっちもないとも。そう、実に簡単な問いかけだ。キミが思うそのままを答えればいいのだよ。……フム、顔?確かに顔は重要なポイントではある。しかしね、見た目なんてものは容易に手放してしまえるし、呆気なく失ってしまうものだ。そしてまた、逆も然り。手段を択ばなければ思いのまま手に入れることができ、簡単に取り戻せる。キミが一番知っているんじゃあないかナー。ほら、腐った林檎……ぬっはっはっはっは!冗談だとも。その銃口を下ろしてはくれないか!私はまだくたばる訳には!んっ?目的?フム……楽しいからここに身を置いている、という答えではキミは納得しないだろうがね。決まりきった条件で何度も何度も違う実験ができるのは実に楽しい。情報は多いに越したことはなくって、多ければ多いほど綿密に計画を練ることができるのだからネ。憎いアイツをどう出し抜いてやろうかと延々プランニングするのも悪くない。それとねぇ、キミみたいに何かを守るのも実は楽しんでいたりするのだよ。ハッ、しらばっくれるのが非常にウマいね!いいともいいとも好きにやりたまえ!こちらとしても都合がいい。……何を知っているかだって?それはもうたんまりと!あれもそれもこれも知っているさ。何たってアラフィフ。あれ?キミって今いくつ、んんっ?!待ちたまえ、だから銃口はおろせと何度も……!わかったわかった銃口はそのままでいい。そう、欲を言えばあと5ミリ右に逸らしてほしい。それなら弾を避けられる。待て待て、間合いを詰めるのはナシ!わかったよ話そう!それで満足するだろう!思考。心。人をその人たらしめるものがそれらであってほしいと思ったことは?感じたことは?キミはあるだろう。あるから、あの子供を気に掛ける。あの子供に救われたがっている。違わないだろう?なぜわかるのかと言えば私も似たような境遇になったことがあってね。あくまで過去の話サ。今は……そうだねぇ、またその思いを抱ける世界になってはくれまいかと画策しているところだよ。

「言葉では言い表せない強かさ。その鋭くも強固な思いを貫く、あの蒼い眼……」

昔のまま再び相まみえたいところだが、然しながら沸々と湧き上がる興味とアイデアにも私の心は揺れ動くのだ。

「今なら悪に仕立て上げることも可能なんじゃないかとも思うわけだ。何せ彼は未だ幼い。思考も拙いときた。それに気付いてからは繰り返しの日々も更に愉快に思えてくる!不思議だろう!」

あくまで私はヴィランで、正義のヒーローではない。キミも悪の立場で、正義じゃないね。私から見た彼のように、キミもあの子供を気にかけている。客観的に見ることができて非常に興味深いとも。安心しておくれ。私はその子供に興味はないよ。だって私のキライなアイツに似てるし、聞けば真似してるともいうじゃない。ムリムリ。トマト投げつけてやりたいね!これからも好きなように見守ってくれたまえ。邪魔はするかもしれないが殺しはしない。というか、殺せないしねぇ……あぁ、こっちの話サ。他の人間に口外するなって?フーム、これまたどうしてやろうか。言ったところで失われることはないだろうが……あぁ、そうか。キミはわからないね。だって、ヒーローではないから……。いいとも!口外しないでおくとしよう!

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