アイドルシリーズ

スキャンダル《その2》
「おはようございまーす。お久しぶりです社長」
「ああ、涼太おはよう」
「今日は社長と仕事って聞いたんスけど、そんな大きな仕事もらえたんスか?」
「いや、涼太これ知ってるか」
「週刊誌…?って、何コレ?!熱愛報道?!」
「やられちゃったよーハハハ!まさか中学生相手にやってくるとは思わなかったよほんとびっくり」
「ず、随分冷静っスね…?っていうか、オレら別にそういう仲じゃないっス」
「知ってる知ってる。だから別に怒ってないよ。たださぁ…」
「?」
「よりにもよってこんな写真撮られちゃってまあ」
「……え、」
「『熱愛報道!某人気アイドルグループメンバーと若手モデル!二人はひっそりと愛を育んでいた。多忙な二人の休みが偶然合ったと思われる8月某日、記者は都内の静かな川辺で二人の姿を見つけた。』」
「川……?」
「『朝のまだ涼しい時間帯に、ラフな格好で現れた二人は川で水を掛け合い楽しそうに遊んでいた。義務教育の真っただ中に芸能界という世界で多忙を極めている二人が年相応に青春している様子は実に微笑ましい。このまま大物へと育って行けばゆくゆくは芸能界きってのおしどりカップルとなるのかもしれない!』」
「意味がわかんねえっス!川?!確かに行ったけど!オレらだけじゃねーし!」
「うん。普通に中学生が遊んでるだけだしさ、悪いように書かれてるわけじゃないから別に僕としても文章自体は何とも思わないんだけど、問題は写真ね写真。涼太、君が自分を売る時にどんな感じでモデルやってる?」
「そりゃあ、クールな大人のオトコを…」
「それなんだよそれ!」
「へ?」
「この写真じゃあ、そのイメージ丸つぶれだわな」
「ど、どんな写真っスか…!?」




「吉川紗希乃(14)が両手に持ったザリガニから必死に逃げる黄瀬涼太(14)かな!」
「社長やめてええええ」


prev next

bkm
- ナノ -