01


どうしてこうなっているのかなんて解らなかった。
いつも通り友人であるベネット・アトラスとその幼馴染である不動光と共にデュエルアカデミアの門を潜ったかと思えば突然意識が飛び、気がついたら三人で門前に倒れこんでいたのだ。

「あれ、不動くんとベネット先輩と十浪先輩じゃない?」「ほんとだ、あんな所で何してんだろ?」なんて口にしながら好奇の視線を向ける自分達と同じ制服を纏う者達の名前は勿論知らない。ふと隣の二人を見れば、何やらひそひそと話していて。
「なんで知らない奴が俺達の名前知ってんだよ?」
「知るわけないだろう。それに…なんだ?この違和感は…」
「違和感?そういや、同じ学校のはずなのになんか違うよな…雰囲気とか」
二人の会話にはっとする。確かに目を覚ました時から得体の知れない違和感を感じていた。だが同時に懐かしさも俺の中で渦巻いていて。
「はあ…どうなってんだよ…」
そう呟きながら、違和感の正体を探ろうと頭をフル回転させていたときだった。頭の片隅に何かが浮かび上がってくるのがわかった。それは、此処が何処かを把握するのには十分すぎるもので。
「ここ、確か光のお母さんの写真の背景にあったよな?」
「えっ?ああ…そういえば母さんも此処の卒業…ってええ!?」
「確かに。それにあの先生、アキさんと一緒に映っていた人じゃないか?」
「本当だ…ってことはまさか、」
「…ああ。俺達、また過去に飛ばされたみたいだな」

マジかよ!
今にもそう叫びだしそうな表情の二人を一瞥し、校舎の方に目をやる。
過去には前に一度だけ飛ばされたことがあった。けれどもこの場所に来るのは初めてであり、右も左も分からない状態だ。こんなところに佇み続けていても、再び此処へ飛ばされた理由が分かるわけではない。選択肢は、一つしか無かった。

「ひとまず中に入ってみよう。何かわかるかもしれねえし」
「えっでも、」
「そうだな。このまま佇んでいても何も解らない。それに…これ以上不審な目で見られるのは面倒だしな」
「…わかったよ」
些か威圧感を孕んだベネットの声音に凄んだのか、力なく了承する光。二人の了承を会話で確認し、俺は自分を訝しんでいた者達に愛想笑いを向け、校舎へと足を踏み入れた。


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