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「おまっおまえ、話聞いてたか!」

「いや話聞いてたからこうなったんだろうよ」

 ジッパーを下ろす手間すら惜しくて、とりあえず目前の餌を逃すまいととっ捕まえて腹に乗り上げた。ぎょっと目を見開いて硬直したカラ松のパーカーをこれ幸いと捲り上げる。
 制止しようと悪足掻き、両手首にかけてきた手は無視して、ふにっとまだ柔らかな二つの乳首を摘むと「はぅん」とか息だか喘ぎだかとにかく腰にくる声を出すもんだから思わず真顔になるってもんだ。尻の下に敷いてるからあったかい股間の反応も丸分かりだし。おいおい、本当に乳首だけですぐビンビンになっちまうよこいつ。やべーよ興奮する。

 いい意味で予想外の痴態にぼけっと乳首を揉み揉みしてたら、いつの間にやら回復した馬鹿力で手首をガッチリ拘束された。下がり眉毛の涙目で、のし掛かられているこの状況でも抵抗を忘れない、お預けくらって腹立つ半分、半端な拒否にそそるの半分。わざとかどうかはともかく、これがポーズであることをおれはちゃんと知っている。
 本当は求められて嬉しいから、その旨味をもっと寄越せと形ばかりの抵抗を見せて引き延ばす。結構こすいところあるよね、でもこれで引くどころか一周回って突き抜けて「可愛がってあげなくちゃ」という妙な庇護欲が湧いてくるところが重度の末期。大丈夫大丈夫、お兄ちゃんはそんな卑怯なところも丸ごと愛してやれるから。ただし今は「とっととヤらせろ」が正直なコメントで、でも力押しで突破したらレイプみたいで面白くない。
 なのでとりあえず頭を下げて薄く色の乗る性感帯を舐め上げてみる。
 舌全体でぬろお、と押し潰した後口に含んで舌先でコリコリ嬲ってやる。それだけで声を抑えられなくなったカラ松は口元を押さえるから、解放された片手は空いているもう片方へ。期待して早くも固くなっているのが健気というか非常にイヤラシイ。開発に次ぐ開発にしっかり追い付いてきた優秀な身体、ラインは見事な雄なのにこうして一皮剥くとすっかり雌にされていて、全くもってけしからんね。

 舐めて揉んで吸って転がして擦って噛んで、組み敷いた身体がもう制止の言葉を上げなくなった頃、上体を起こしてくたくたのカラ松を見下ろした。

「なあ、シてみせてよ」

「……」

 はぁはぁ、我ながら獣みたいな息遣いでお願いする。くったりと力の抜けた手を掴んで胸元に置いてやると、諦めたような表情を繕って、カラ松はゆっくりと指を動かし始めた。
 瞼にぎゅうと力を入れて閉じ、色付いた喘ぎを噛み殺しながら、夢中で乳首を弄くる。

 ケダモノみたいに興奮して、汗ダラダラかいてモノを硬くして、こっちが素直に気持ちいいことに溺れてみせれば、カラ松は大抵一緒に馬鹿になってくれる。一緒なら躊躇なく泥沼にずっぽりと浸かってしまえる潔さと盲目さが、好ましくて愛しくて時々このまま死んでもいーやと思う。女っぽい仕草とか可愛いパーツとかおっぱいとか、まっったくないんだけど、男らしさを自負しているその凛々しい眉や目付きがぐずぐずに蕩けて崩れていくのは凄くイイ。はぁはぁ息を荒げて、伏せている目元に刷いたように朱が差して、これを見るのが好きだからおれは目を閉じて羞恥心を殺そうとするカラ松を止めない。こっちを見てて欲しい気持ちももちろんあるんだけれど、そういう気持ちが湧いてきたら無理矢理にでも振り向かせるからいい。

「あっ! あぁあぁっ」

「うわー。ほら、見える? もうガマン汁垂れてきた」

 放置したままでイっちゃうところも見たかったけど、そこまで持ちそうにない。我慢できずに兜を合わせるとすっかり雌声になったカラ松が派手に喘ぐ。裏筋を擦り合わせてぬるついた手を上下させると堪らないとばかりに腰がゆるゆる揺すられるから、合わせて腰を振りながら、二本の竿をせっせと扱く。汁を漏らす鈴口を指先で擦るとビクビク不規則に腰が跳ねて、幹はぐっと反り返った。

「あ、あ、あ、あ、」

 イっていいよって繰り返してると唐突にびしゃりと、本当にいきなり精液を飛ばしてきた。目を閉じて余韻に浸りながらも乳首弄りを止めないカラ松。カチカチの曩を揉んでお手伝いしてあげるとぴっぴぴっぴ、面白いくらいに飛んでくる。

「残念、乳首だけでイクところ見たかったのに」

 つい手が出ちまうなぁと形ばかりの反省を表明しておく。
 そもそも何でこんなことになったかというと最近乳首がしきりに勃ってしょうがないなんてしょうもない相談をカラ松がしてきたからだ。何かにつけて弄くり回すお前の所為だ、最近じゃ自分で慰める時も触らずにはいられないとかそこらへんから雲行きが怪しくなったのだ。要はムラっときて押し倒した。


 唐突な絶頂にびっくりして、俺の方はまだだから、今度はこちらをお手伝いしてもらおっと。腿をがばっと持ち上げて、ぴちっと合わせて抱え込む。勃起しきって痛いブツを間に挟ませてもらうと、あんまり萎れてもなかったカラ松の松にも擦れて気持ちは否応なく盛り上がる。

 挿れるの挿れないので揉めた初めの頃は随分素股のお世話になったものだ。カラ松にもさせてやったけど、おれ完全にオナホ扱いされたよなぁそういえば。自分で手一杯なのが丸分かりでアンアン腰振ってイっちゃって、一息ついたら今度はアバラ直撃なピロートークもどきを一人で垂れ流し始めたからさすがに殴った。こいつ一生童貞だなと確信した当時の思いが蘇る。まあ、卒業させてやる気もないし、いいんだけどね。



「はぁ、……ふぅ、ン、ンっ」

 ペースはゆったりしたものだけれど未だにカラ松の指先は己の乳首をくにくにしてる。どんだけ好きだよ、もう中毒だよそれ、いっそもう乳首飽きたって言えるまで嬲ったら勃たなくなるんじゃないの。
 膝立ちして滑らかな内腿に挟んだ性器を少し弾力の失せたカラ松ジュニアに擦り付けていたら、ふにゃふにゃの蕩け顔で「気持ちいい」とか言うから、もうそれはイっちゃうよね。倒れ込んでぴくぴくしてたら「おそ松が乳首舐めてくれたらもっとイケそうだ」とか言うもんだから、それはそれは頑張っちゃうよね。舐めながら掘るとか腹筋が死ぬから、座位でお前にも頑張ってもらわないとね。



「あーっ、あっ、あぁ、ムリッ、おそまつっ! もぉっ、むりぃっ!」

「えぇ? なに、何、無理って」

 後ろ手をついて反り返るカラ松の身体中を伝い落ちていく汗が、動く度にきらきらして綺麗だなぁ舐め回したいなぁとかぼんやり思っていた。行為中のカラ松の言葉は形は違ってもいつも大体意味は同じだ。「無理だ」とか「死んじまう」とか「限界」とか「もう嫌だ」とか、要は全部気持ちいい、で間違いない。何も考えずに鸚鵡返ししておくくらいで丁度いい。

 松葉を交差させる体勢で互いに脚を伸ばし、おれの腰の上で尻を振りたくるカラ松を下から揺すり上げて可愛がる。乾かないようにと心配して使ったローション、かけ過ぎたかなと思わないでもない。尻たぶまでぬるぬるするから痣でもつけてやろうかとばかりに力を入れてもぬめって上手く掴めない。

 おかげで上に乗るのが苦手なぶきっちょカラ松にも上手に腰振りができている。痛いとか怖いとかいつもはおっかなびっくりでこっちはイライラするもんだから(ちなみに怯えるのをいきなりガンガン突き上げるのも面白いから別にいいんだ)、積極的なカラ松が新鮮でメチャクチャ滾る。ぶつかる肌がぱんぱん鳴るくらい勢いよく打ち付けてくるから、抜けないように気を付けてあげないといけないのがちょい大変。けどそんな苦労も吹っ飛ぶくらいに今身体中興奮してるから全然平気。
 汗でツヤツヤしてる肌とかローションでぐっちょぐちょんなってる下の毛とかぷるんぷるん揺れる真っ赤なちんことかおれの立派な松茸全部咥え込んでずぼずぼしてる穴とか、色んなエロいものが丸見えでなんかもう堪んない。
 気持ち良さそうに喘ぎながら頑張ってくれるカラ松の、今は放ったらかしにされてる乳首がそれでも健気にぷっくり勃ってるから、尻を掴もうと足掻いてぬるぬるしたままの指を伸ばして可愛がってやる。途端に腰が抜けたようにへたり込むから、仕方がないなぁと一度体勢を変えようと力の抜けた身体を猫を抱くように脇から持ち上げる。「あっ」て、抜かれたくなくて腕を首に絡めてくる可愛さは悶絶モノだったけれど、後ろからしたいと説明するとすんなり協力して四つん這いになる従順さにうっかり暴発事故を起こすところだった。危ない。

 たっぷり垂らしたローションのおかげで、大した抵抗もなくぬぷぬぷと挿入できていく。
 すっかりほぐれたカラ松からは、腰を押し込む度に「あぁ」とか「んあぁ」とかだらしない喘ぎが押し出される。もっともっと。汗でぬるついた胸元を撫で上げて期待に尖るものをぎゅっと抓るように挟むと、悲鳴と同時に中がぎゅっと締まった。宥めるようにゆるゆると撫でれば、ふぅふぅと荒い息を整えるように丸まった身体が震える。
 あーもーかわいいーって乳首を摘んだまま腰を振って、そしたら伸し掛かる俺のことも支えてくれてたカラ松の腕はすぐにへにゃへにゃになっちまったから。最終的には二人揃って仰向けに寝転んで下からごりごり追い上げた。イくイくってうるさい間もずっと乳首弄りを止めなかったら、搾り取るようにきゅんきゅん収縮する粘膜にこっちも搾り尽くされた。



 これでもかってくらい舐めて揉んで擦って吸って噛んで転がして、散々可愛がられたそこは最終的にがっつり腫れて膨れて、おまけに勃たなくなるどころか感度ビンビンになっちゃって、半泣きで罵られたけど俺はあんまり悪くないと思う。責任の比率で言ったら、おれ:カラ松:カラ松の乳首=1:3:6くらいじゃないかと思う。そんなエロいのが目の前にあったら絶対こうなるもん。大体そんなエロいもんつけてるお前が悪いよね。


 この失態を取り戻すにはもうあれだな、別の性感帯を開発するしかない。服に擦れて困らない、めったに人目に晒すこともない、そんな箇所といったらどこか、二人の目下の課題です。










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