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 その日は雨が降っていた。

 うまいこと種銭(正しくは生活費だ)が倍になって浮ついていたその日の伊藤カイジは、普段なら鬱陶しいと舌打ちを漏らしていただろう雨に対して「恵みの雨」と思える程の余裕があった。気持ちに余裕ができると楽天的になり、視野も広がる。紫陽花がしっとり色付いているのを柄にもなく「綺麗だな」と受け止め、錆だらけの階段下にうずくまる猫が「気の毒だ」と思える程には。

 紫陽花はともかく、その猫がまた周りから浮いて見えるくらい見事に真っ白な猫だったから、思わず足を止めてしげしげと眺める。野良だろうか。視線に敏感で、目を閉じていたくせにすぐに頭をもたげてこちらを見返してきた。猫とメンチきり合う趣味はないし、さっさと部屋に戻ろうとカイジは歩を進め直す。やけに鋭い目が鉄製の階段の隙間から、見えなくなるまでじっと彼を追いかけてきた。



「…………」

 帰りがけに購入してきた酒や食材を小さな冷蔵庫に押し込んで、牛乳の期限がまだ切れていないのを何となく確かめる。少し迷って、強くなってきた雨音を窓越しに聞いて、やっぱり行くかと腰を持ち上げた。手頃な皿がなかったので豆腐が入っていたプラ容器を使うことにする。

 張り出した庇に覆われた階段下には雑然と住人の自転車やら原チャリが詰まっていて、ブロック塀を背にして縁石に器用に箱座りした白猫は接近するカイジを視線で威嚇した。ゆっくりと距離を詰めていくと素早く右肢を腹の下から出したそこを、間合いの限界と見る。屈み込んでそろそろと牛乳を張った皿(豆腐の空きガラだ)を差し出すと、鼻を近付けて確認するように匂いを嗅いだ。その間右肢は出たまんまだったから「こりゃ見てたら駄目だな」とブツを置いて後ずさった。
 視線はやっぱり、見えなくなるまで追いかけてくる。湿気を吸っているのかぼわっとして全体的に丸っこくなっている猫。ふくふくと膨らんだ白い毛玉を、ふと撫でてみたくなった。

 善行を施したような気分と大家に見つかるとまずいなという後ろめたさ、後から皿(もはやゴミだろう)回収しないといけねーかなとかいう面倒くささが絶妙にブレンドされた奇妙な心持ち、けれども何よりパチンコで勝った余韻がすぐに心を圧倒して「今日は飲むぞ!」とカイジは常よりも軽やかに階段を踏んだ。





 思っているよりもずっと、精神が磨耗していたのかもしれない。

 底辺の生活を味わい尽くした、それは生活レベル云々の話だけでなく精神面の話で(騙されたり騙したり嵌められたり嵌めたり裏切られたり陥れたり)、そうした場面を立て続けに越えてきてやっと取り戻せた平凡な(そして倦んだ)暮らしの中、張り詰めていた心の糸は一気に緩んだ。緩んだものだから、ほつれかけてぼろぼろに磨り減った具合が一層よく見える気がした。

 そんな状態だったから、ものばかり言って内側が見えないヒトよりも、もの言わぬ生き物にとてつもなく心安らぐ自分を発見してカイジはいたく納得した。

(人に疲れるとか……世捨て人にでもなるか……?)

 しかし俗世間から離れて陰士を気取るにはアルコールやジャンクフードに浸かりきり、なおかつそれを自力で調達するポテンシャルはない、ハイリターンを狙えるギャンブルといった類の誘惑に抗しきれない、俗にまみれた己をよく知っていたカイジは、結局嫌々ながらも人の間で働くしかないのだと何度も出した結論を今日も噛み締める。
 いつか見てろ! ちゃんと、きちんと、生きる。確かな足がかりを掴んで、成果を収めて、真っ当な暮らしをするんだ。今はまだその途中。通過点なだけ……!
 誰に対してでもない、あえて言うなら世間全般に対する闘志を燃え立たせ、未来を夢見る若者である現状フリーターは念仏のようにくり返す。

 気が付くと圧し掛かる呪いのような自己分析。
 基本的に自堕落。楽な方へと流されやすい。苦労が嫌い。働きたくない。そして人が、人の汚さや自分可愛さ、浅ましさが、どうしようもなく厭わしい。

 うんざりしていた。不信、裏切り、打算の絡む人との関わりや、何よりも、どこまでいっても変われない自分に。


 元々明るくない上にすっかり人間不信をこじらせて、人と接するだけで気疲れしまくるカイジが労働後よろめきながら帰宅して、そこにやって来た小さくてふかふかした生き物に癒されるのは誰に責められることでもなかった。少しばかり、情けない点はあるのだけれど。





 階段下の出会いからひと月ばかり、どこかから流れたきたらしい件の白猫はカイジの暮らすアパート周辺にひとまずの居を定めたらしい。
 姿を見かける度に構っていたらめでたく給仕係に認識されたようで、白猫はすぐにカイジの部屋を覚えた。厄介だと感じる自分も確かにいたはずなのに、何かしら貰えることを期待している目を見るともう駄目で「見つかると俺が怒られるだろうが」と文句を垂れつつ「今日暑かったもんな」と牛乳を振舞う日が幾日か続いた。



 世話を焼く内にすっかり情が移り、今や用もないのにドアを開けて外に目をこらすようになっていた。外から帰ってくるカイジを玄関先で待っていることもあり、姿が見えないと車に轢かれでもしていないかと心配になった。猫なのに滅多に鳴かないものだから、暗闇の中からぬうと足元に寄ってくる気配に悲鳴を上げたこともある。

 初めは湿気に膨らんだ姿に笑ったものだが、よくよく見ると結構シュッとして姿の整った猫だった。綿のように真っ白で、耳の中は淡いピンク色で。色合いだけなら可愛らしいが尖った顎に尖った耳、細身で筋張っていて大柄で、極め付けに目付きがやたらと鋭い。性格的にも可愛げがない。

「お前、こんな無愛想でよく生き延びてきたなあ」

 猫に独り言を零しつつ餌をやるいかにもアウトローな雰囲気の猫背な男、客観的に見て「小動物を虐待しようとまずは手懐ける不審者」ととられても仕方のない風体だと卑屈に自認するカイジは夜か明け方にしか白猫に構わない。相手もそれを把握しているのか元々の習性なのか、日が暮れてからにしか現れなかった。

 日に何度も現れるかと思えば半月も姿を見ないこともある。気紛れにふらふらしているそれをカイジは便宜上「シロ」と呼んでいた。何のひねりもない、そのまんまのネーミングであった。





 生き物がいるっていいなあなどとカイジがしみじみ思うようになったのは、頑として触れることを許さなかった白猫が初めて撫でることを許容した頃からだ。その時期から、立ち寄った居酒屋ででかい鉢にメダカが泳いでいたり、道端に繋がれて買い物中の飼い主を待っているのだろう犬を見かけると、何というか和む……ようになった。ただし和んだ後に「似合わないのは百も承知だ」と誰に対してか常に後ろ向きに言い訳をする。基本的に自虐的な男であった。

 生き物が単に息をしているだけで癒されるカイジにとって、対象が餌に気を許した隙にちょこっと背中に触れただけでも感極まる程の達成感を得られた。さて白猫はというと、最初は不機嫌そうに唸ったものの、カイジがしつこくちょこちょこお触りをくり返す内に頭を撫でても無反応になり、首元を掻いてやると(相変わらず目付きは最悪に鋭いものの)ぐるぐると喉を鳴らすまでになった。

 必然、可愛くなった。
 そして、一度可愛くなったらもう底なしだった。

 いつまでも豆腐やコンビニ弁当のプラ容器じゃ可哀想かと思うようになり、わざわざ猫用の食器まで用意して(百均だが)自分のそれよりマメに洗うようになり、ついにはただでさえカツカツな生活費から猫専用の餌まで常備するようになり、パチンコの景品引換所ではペット用品に目がいくようになり、さすがに「あれこれまずいんじゃね」とふと己を冷静に振り返る賢者タイムは時折訪れるも、もはや習慣となった確認は体に染み付いていつもの時間にドアを開け、開けたら当然のようにしっかりと居る猫にふにゃりと情けなく笑いかけてしまう。無限ループである。





 無限ループに嵌ったのち数ヵ月。気が付いたら、猫と出会ってから季節がひとつ過ぎようとしていた。働かないことには死ぬしかないので、相変わらずカイジは嫌々働いている。心底嫌なものだから、心を無にして働いている。完全にスイッチを切り、無になっていたにもかかわらず、その言葉はバックヤードでもそもそ着替えていたカイジの耳にやけにすんなりと入り込んできた。いわく、弱った猫に『パン粥』を作ってやったとかいう話。

 『パン粥』とかいうやけに美味しそうな響き。
 あれだ、魔女の宅急便で出てきた『ミルク粥』みたいな。
 そして猫。弱った猫。
 ──奴は喜ぶだろうか。
 別に弱ってなんかないけれど。むしろふてぶてしく毎日を謳歌しているけれど。

 あ、作り方を聞こうと思い立ったのも束の間、話題はあれよあれよと移っていき、カイジがぼんやりと切り出し方を考えている内に魅惑の『パン粥』はあっという間に過去のトピックへと成り下がった。楽しげに『ゼミの卒業旅行』で盛り上がる中、「ちょっとそのパン粥ってどう作んの」とかもう聞けやしない。あ、そもそもキャラじゃねえなと気付いたカイジは帰りがけ本屋に立ち寄ることにした。



「……離乳食じゃねえか。これ」

 深夜に近い時間帯、料理やインテリアといった家庭的な雑誌が並ぶ棚に向かって立つのはカイジ一人きりだった。丸文字で『ペットコーナー』と刻されたプラ板が空調設備の起こす風にゆらゆら揺れる中、手当たり次第に引っ張り出して中身を確かめていたカイジは毒づいていた。

 奴が食わなかったら自分が食べようくらいに思っていたというのに、完全に人のための味付けではなさそうだと察して少なからず落胆する。欄外のコラムにあった「赤ん坊の離乳食にもよい」の一文を見て、一応複数の文献から情報を拾い出しておこうと育児本で確認をした後、今度は「固くなった食パンのリサイクルにも!」の一文を見てなんだ人間用のもあるじゃんと料理本まで読み漁った。

 いかにも食欲をそそるいい感じの写真に刺激され、だんだんと「猫に食べさせてやりたい」から「自分が食べてみたい」に最終目的を揺らがせつつ、本を購入するという選択肢は端からないカイジである。小一時間は居座りさんざ情報を吸い上げた本屋から手ぶらで出てきて、仕入れたばかりの知識を頭の中で反芻しながら真っ直ぐ家路に着いたのだった。





 作ってみれば本当に病人食にしか見えないパン粥であったが、白猫は湯気が消えすっかり冷えてしまった程よい頃合にやって来て、洗ったのかというほど綺麗にボウルを舐めあげて去っていった。旺盛な食欲を引き出したことにけっこうな満足感を覚えたのは朝晩に涼やかな風が感じられる頃の話で、今はもうTシャツではやり過ごせない肌寒さを感じる。カイジは現在のアパートに腰を据えてから初めての秋を迎えていた。
洗濯物が乾き辛いと感じてからやっと、着たきりすずめ一歩手前といった自分の状態に気付いた。手で絞って干しておけば数時間でからりと乾く夏の日は遠い。

 カイジは学生ではない分、雇う側にとって使い勝手がいいはずだが、アルバイトとしての雇用時間には制限があるものだから案外暇をしている。かといって空いた時間に他の仕事を入れようといった積極性も持ち合わせていない。外に出ても、どうせふらふらと吸い寄せられるのはケチなギャンブル、それならば着るものがないまま家でごろごろ微睡んでいる方がまんぼかマシだと溜め息を吐き横になる。睡魔はゆっくりと這いよって来て、やがてすっぽりと意識を覆った。





 床と接している自分の体がゆらゆらと揺すられている。異変に目を開けていつもの壁、見慣れた天井、立てかけていた折り畳み式のテーブルなどが映るのをぼんやり知覚して、それでも揺れる体に「ああ地震だ」と思った。やけに続くが、揺れは激しくない。起きたら一応ニュースを確認するかなとぼんやり思って、再び目を閉じた。

「起きなって。寝るならちゃんとして寝ろよ」

「……もうおきる」

「寝てるだろ」

 何だか母親みたいなことを言うなとそこまで思って、事態の異常さにパッチリと目が開いた。自分以外の誰かが、部屋にいる。

 今度こそ起き上がる。急に持ち上げた頭がやけに重い。夕暮れ時も過ぎようという時間帯らしい、部屋は薄暗く、開け放していた窓から入り込む風はひんやりと冷たい。体は強張り、自然動きは鈍いものになった。

「風邪ひくよ」

「……ああ…………って、おい」

 カイジは一人暮らしで、訪ねてくる友人知人の類は思い当たらない。そもそも『伊藤カイジ』がこの部屋を借りている事実を把握している知人は非常に限られている。というか役所か不動産関係か履歴書を提出した勤務先くらいだ。

「何だよ手前ぇは。何勝手に上がってきてんだ」

 目付きの悪さは自覚している。寝起きも手伝って相当の険を含んでいた目線をまともに受けた相手の反応は、およそ考えられるどれとも違っていた。
 予想外の言葉を投げつけられたかのような、放心した顔付きである。僅かに見開かれた大きな目に、カイジは毒気を抜かれた。

 見れば相手はまだ少年と呼べるような年齢の、華奢な男である。
 カイジの凶悪な視線を涼しく受け流して、不法侵入者は「悪い」と謝罪を口にした。

「少し屋根を貸してほしいだけなんだ。頼めないかな……若者を助けると思って」

「はぁ?」

 顎をひいて若者と自称する男をまじまじと見つめる。白いシャツに黒のスラックス。どこにでもいる学生という風体だが頭髪は歳にそぐわず白く光っていた。思わず目が吸い寄せられる。染髪させたような違和感はなく、色のさっぱり抜け落ちたクリアな白髪だった。

 少年は「赤木しげる」と名乗った。





「何したんだお前」

「ちょっとね。謂われない恨みを買っただけだよ」

(いやほんと何したんだ……)

 詳しく聞かない方がいいような気がしてカイジは口をつぐむ。事情を知れば否応なく巻き込まれる予感がした。ため息を吐く。面倒ごとは御免だった。自分だって十分引き起こす可能性があるのに、その上不確定要素まで抱え込むなんて無理だ、絶対無理!

 なのに不審極まりないその不確定要素を、即座に叩き出せないでいる。
 理由は自覚していた。

 業が深いと言われれば、否定できないなとカイジは思う。前世なんぞ信じているわけでもないが、己ではどうしようもない天分が働いているのだと言われれば納得するしかないような悲運に見舞われてきた。無論それをただ甘受してきたつもりもないが。



 日常に突如として闖入してきた異変を受け止める前にと、ひとまず冷えた部屋の窓を閉め、薄暗がりの中電灯を点し、改めて面と向き合ったカイジは、思わず眉を顰めた。学生には到底不似合いな、赤黒く腫れた頬を直視したためだ。髪も肌も白いせいで余計に痛々しい。蛍光灯の下でよくよく見れば白かったはずの開襟シャツも砂か泥か、薄汚れている。
 不良少年という単語が頭をよぎり、しかしそういえば自分も人を初めて殴ったのは高校生の時分じゃなかったかと記憶を浚う。それにしたって随分と手加減なしの一発に見えた。

(ガキだから考えなしに全力を出すのか)

 ため息を吐いて立ち上がったカイジを、目で追いかけてくる不良少年。他人の家に勝手に上がり込んでおきながら、居心地の悪さだとか申し訳なさだとか、覚えてしかるべき羞恥心は一切見えない。あまつさえ寝こける家主を揺り起こす遠慮のなさ。泰然としたその落ち着きにいっそ感嘆さえ覚えたが……

(いや、社会性が、すさまじく欠如しているだけじゃないか?)

 新聞もとらないニュースも見ない、もとより興味もないため現代っ子の現状など詳しく知る術もないが、現代社会の家庭環境も学校現場も、予想以上に荒廃しているのかもしれない。まともな社会参画も叶わずにうっかり裏道に迷い込んだ挙げ句、日の当たる道を歩くには肩身の狭い傷跡をさんざこしらえた自分が言えた義理ではないが。

 簡素なキッチンまでの数歩を踏み、玄関脇に据えた冷蔵庫をあさる。商店街で鮭の切り身を求めた際にくっついてきた保冷剤を発掘して布巾におざなりに包むと、畳を軋らせながらもとの位置に戻った。じっと動きを追いかけてきた目を封じるように顔にべしゃりと押し付けたら、嫌そうに眉は寄せられたものの、じっとされるがままだ。

「湿布とかないからな。それで冷やしとけ」

「……」

 されるがまま、頬に押し当てられた布巾の塊を受け取るでもなく、ぼうと見上げてくる顔は子どもそのもので、一から十まで言わなきゃわかんないのかと更にため息を吐いた。ため息を吐くと幸せが逃げる、だなんて誰かが言っていた。それが本当ならこの数分足らずで、自分の幸せとやらは根こそぎ裸足で逃げ出したに違いない。

「本当に屋根を貸すだけだからな。後は自分で何とかしろよ」

「……いいの?」

「いいも悪いも、お前が言ったんだろうが」

 別に若いものを助けようだなんて思ったわけじゃないが、明らかに己より年下で、怪我を負った子どもを捨て置くのは、精神衛生上非常によろしくなかった。疑惑の心がないわけではなかったが、物盗りの下見にしては段取りが悪く、詐欺を謀るにしては取り入ろうとする姿勢がない。そもそも盗まれて困るような金品はここにはないし、自分を騙して得られる利益などたかが知れている。何より、人と義務でも仕事でもない会話を交わすのは本当に久しぶりで、そこから生き物に触れて得られるものと非常に似通った何かが湧くのをカイジは感じていた。
 人に疲れて、でも人との重なりを断ち切れずに求めてしまうのは、もはや業と言われても仕方のない 馴染んだ衝動だった。



「悪いね……じゃあ、ちょっと眠らせて」

「ああ。あと、俺今から晩飯つくるけど。お前どうする」

 食いたいモンあるかと尋ねはしたものの、実際にカイジが提供できる料理は限られている。聞くだけ聞いて、米か麺かパンかくらいのざっくりしたカテゴリーでくくればいいかと軽い気持ちで聞いた。


「……じゃあ、あれ」

 パン粥がいい。


 ごろりと布巾を下に敷いて器用に頬を冷やしながら、早くも眠りに揺れた声音で、告げられた内容にカイジは虚を突かれて黙り込む。暫く考え込んだ挙句に取り敢えずと動いたのは、ベッドからタオルケットを剥がしてしげると名乗った少年にかけてやるためだった。


 限られた食材と睨めっこをしながらカイジがその晩長考したのは、「やはり猫舌だろうか」という悩みである。










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