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※サイヤパラレル





 組み敷かれて杭打たれて、それでもまだシーツを掻き逃れようと筋張る腕が腹立たしくて眉が寄った。

 反面、そうでなければと笑みを刻む自分もいる。邪気のないこの子どもにも服従を是としない性が確かにあると知れて、どこか満足と安堵を感じていたのかもしれない。
 人を疑うことを知らず他者と馴れ合い、溌剌と明るく笑う子どもだった。最下級戦士に分類されながら精神だけは相当に頑健で、迷いを持たない純粋さ故に己の限界など疑わない。そのひたむきさ、強さを求める貪欲さが救いと言えた。それがなければとうに潰されていただろう。

 絶え間ない遠征と遠征の合間、顔を合わせる度に手合わせを乞われ、乞われるまでもなく自分もふっかける。その都度見せつけられる格闘センスも技術も根性も常に予想を覆すもので、思わず気分を高揚させられる。愉快ですらあった。ただ幼い時分から全く変わらない、どうにも甘ったれた性格にはいい加減うんざりしていた。唾棄すべき対象である軟弱な性分が自分の息子に宿ったことには、いかな戦闘以外の全てに無関心なバーダックとて放っておける問題ではなかった。
 それなのに、身近な存在として無条件に慕ってくる息子にいつの間にか馴らされ、それを受け入れている。弱くなったと思った。





 顔を見れば飛び付いてくる次男に苛立ちのまま拳を叩き込む。まともに食らって転がる姿に胸がすいたのも束の間、それはそれで腹が立った。何故避けられないのか!
 一頻り何やら喚いて身構えた相手が、今何をしたって自分の神経を逆撫でするのだと理解し、息を吐く。痛めつけてやろう、と思った。





 経験のない感覚に怯えているのが肌から伝わる。呼吸は不規則に乱れ、常ならばしなやかに動く筋肉は酷く強張っていた。押し退けようと突っ張る腕も細い。もとより差が圧倒的な上、重力を味方につけたそれにかなう筈もなく、当惑と恐怖に震える体は呆気ないくらい簡単に拓かれた。無残に引き裂かれた衣服を、腕にも太腿にも浮き出た痣を、痛みにか屈辱にか歪む顔を眺めていると、胸中を何かが思いきり掻き回す。

 戯れに顔を近付けて口を吸えば抵抗が止んだ。食らいついて小さな舌を弄ってやれば息を継ぐことだけに必死で集中する。緊張に筋の張り詰める首筋を噛めば汗の味がする。発情した生き物の味。匂い。腰を揺らしてぬろりと怒張を抜き出せば、緩む体が細く息を吐き出した。すぐさま突き上げると入り込んだ勢いのまま悲鳴が漏れる。未完成な体がぐんと撓み、肌に浮いた汗が散った。くり返す単純なピストン運動に、背筋をえもいわれぬ悦楽が這い上がる。しゃくりあげて泣き、喘ぎ、呻いて叫ぶ小さな獣を、完全に支配下においたことで得られた快楽だった。

 自覚すれば興奮がいや増して、半端に揺らめかせていた腰を一転して暴力的に打ち付けた。途端に押し出された情けない涙声に再び燃えるような苛立ちが湧いて、後はもう、滅茶苦茶に苛め抜いた。



 そうでなければ浸食される気がしてたまらなかった。
 こっちが食われる。弱さが伝染る。
 痛めつけているだけの、この単純な暴力行為に耽溺してしまいそうな程に。
 自分が満足するのは、高揚を覚えるのは、闘いの中だけでいい筈だ。
 こんな、弱い生き物をなぶり殺しても何も得られない。
 何も、ない。



 逃れようとしてか腕の中でしきりに身をよじる子どもをきつく拘束して、手前勝手な欲望を吐き出す。
 自分を呼ぶ声に応えるようにその頭を抱き込んだのは無意識だった。











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