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「今だから言うけれどわたし最初あなたのこと女の子だと思ったの」

「そんなこと、どうして今言うのさ」

「男の子なんだなあって思ったから」


 カドルスは全く、身近な可愛らしい女の子と比べても遜色ない容姿をしていた。無邪気で愛らしく明るく笑う姿も声も、あるいは自分よりも可愛いと真剣に感じる程に。色素の薄さもその認識を助けたかもしれない。それは今も脆弱さや儚さでなく明朗な印象で彼を飾っている。ちゃんと男の子らしい趣味も持っていたかもしれないけれど少なくとも私の知る彼は繊細で可愛いものが好きで動物にも優しくて、そんな愛すべき存在だったのだ。

 だから声をかけられても何を思うわけでもなかった。
 女友達と同じように遊び同じように笑い合って過ごしてきた、何の危機感を持つでもなく。
 一番怖いタイプだと思う。
 性差で女に危機感を持たせない男が恐ろしいものだと知るための、これは少し高い勉強代。










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