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久々知(29)はテレビでよく見る芸人さんとかよく聞く単語とかよく流れるポップスとかに猛烈に疎い。
世間で今何が話題になっているのかという、通常ならば社会生活を営んでいく上ですべからく持つだろう知識がごっそり抜けています。
テレビは見ない。
ラジオも聞かない。
当然地デジ化してません。

自分の研究にかかりきりでそんなに高くない給料なんかも殆ど生活と、あと資料とかそれを収める書棚とか研究会への参加費用とかに消えちゃう。付き合い酒もそこそこ多い。

助手として大学に所属しているんですが教授のサポートに努めつつ上司とはまた少し畑の違った方にも手を出したり、倦まず弛まず自分の研究も続けているので休日も大抵研究室にいます。
他にもお客さんにお茶を出したり蔵書の整理をしたりデータの打ち込みをやったり事務方と教授の間を取り持ったり、何でもそつなくこなしますが接待だけはおもっくそ下手くそです。

学生を含め土井研究室にやって来るお客さんに聞くことができれば、みなさん口を揃えて「久々知助手と二人きりにされるとめっちゃ気詰まりです」って言う。

「下手な事を言えばバカにされるヒイイ」と無意識に人を萎縮させるインテリジェントな雰囲気も原因でしょうが、久々知側の沈黙は世間一般の話がてんで分からないため何を話していいのやらさっぱりだからです。彼も緊張しているのです。おそらく彼とは専門と、あとは天気の話くらいしかできません。
(付き合い酒も顔は出しますが二次会以降は行きません)

しかし現状(人間関係)改善のために自分を曲げてまで興味の持てない分野に分け入ろうとはてんから思えない頑固ものでもあります。だから多分永遠にお客様の前では緊張し、沈黙し続けます。

頑固さが彼に綿密で精緻な美しい仕事をさせるので、これは欠点であると同時に美徳と呼べなくもありません。

彼の娯楽といえば子どもの頃に好きだったアニメ(ビデオ録画)(ヅブリ系)を見返したり小学生の頃にコレクションとしてお小遣いで集めたミニカーを箱から出してみようか迷って結局眺めるだけで終わったり、そうこうしている内に仕事を思い出してまた象牙の塔に戻っていくという、何かもうどうしようもない感じです。

専門以外には全くの保守派なので生活スタイルなんかも毎日判で押したように変わりません。

実は人の名前を覚えるのも苦手ですが、そこは最低限の礼儀として特徴を一言添えて手帳に書き込むなどして覚える努力をしています。あと食のマナーは素晴らしいです。



鉢屋三郎は青春を謳歌する今時の大学生
衣食住の食を極限まで削って衣と住に注ぎ込む二年生です。衣類雑貨等の「一点もの」という言葉に弱く、作れるものは自ら作ったりします。中途半端が嫌いなので、その出来ばえたるやかなりのものです。
見た目に惚れて床がタイル貼りの一間があるシックな部屋を借りちゃいましたが冬のあまりの寒さに引越しを検討しています。

中学の頃はスピーカーやらPCやらに噛り付きジャンル問わず音楽と映像作品にのめり込むかなりのインドア派でしたが、高校に上がり否応なしに縄張りが広がると好奇心を剥き出しにしてあちこち遊び回ってやんちゃな事にも手を出してきました。しかして中学高校を通して席次は常に結構上位。定期試験はそれなりですが実力テストじゃ全国頂点を争えます。

おんもが大好きで街歩きと縄張り開拓が趣味です。横道入って店舗の入れ替わりが激しいようなビルの上まですたすた探検しに行って、個人の趣味でちんまりやってる趣味の雑貨屋さんなんかにも物怖じせずにずかずか入っていきます。

馴れ馴れしいいやまちがえたにこやかだし空気読みだしおまけに人を気疲れさせない雰囲気と話術を持っているので、結果として顔が異様に広いという事態に。

あと手先が異様に器用です。
友人の髪を宅飲みの余興で切った時の仕上がりが噂になって、それを伝え聞いた野郎共のみならず女の子までちょくちょく頼みに来る始末です。
(これが斉藤さんの耳に届いて彼の興味と対抗心をそそればいいと思います)

変な所で凝り性を見せ、鍋に入れるニンジンを突然花形に切り始めたりします。それが面白くなってきて本格的なベジタブルカービングに邁進したりします。そんで行く所まで行ったら唐突に飽きます。

恋愛もそんな感じなので本気で相手を務めようとするならかなり最悪の恋人という事になります。頬を張られた経験は足の指合わせて勘定しても足りるかどうか分かりません。
何かにがむしゃらになって打ちのめされるだなんて、久々知先生(と呼んでいます)に出会うまでなかった事でした。





という感じです。
まあおせおせ鉢屋くんに最初はうっぜと思っていた久々知先生が絆された挙句振り回される事に……っていうベタベタな展開を妄想して今日も私はニヤニヤしているわけです。
2011/03/06 22:46


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