天使は愛しか知りません

せっかくの休みなのに、すっかり消し忘れていた目覚まし時計によって起きる羽目になった。
うつ伏せになろうと身体をゆっくり起こすとミシミシいたい。さらに言えば服を着ていないため寒い。
ぽちりとボタンを押して目覚まし時計を止める。ふう、と息を吐いてわたしは枕に顔をうずめた。

「…目覚まし消しといてよ」
「すいません、消し忘れてました。まだ寝てても大丈夫ですよ」
「…ん」

高橋さんにゆっくり腕を引かれ、そろそろと近づくと両腕で抱きしめられた。

「…高橋さん」
「んー、なに」
「わたし、もう起きますよ」
「もうちょっと」

寝起きの高橋さんはいつも甘えただ。普段はかっこいいけれど、こういうときかわいくてずるいな、と思う。そしてわたしは、結局高橋さんに甘い。
高橋さんの腕の中で、今日は何をしようか、まだぼんやりする頭で考える。月曜日にやってきてからもう水曜日。3日も経ってしまった。
ごろごろ過ごすのも悪くないと思うけれど、なかなか会えないのだ、どこかへ出かけたいとも思う。

「梓、あずさ」
「耳元がくすぐったいです、高橋さん。…なに?」
「今日はハンバーグが食べたい」
「わかりました、晩ごはんはそうしましょうか」
「ん。…俺もそろそろ起きようかな」
「まだ寝てても大丈夫ですよ」
「目、覚めてきた。あ、そうだ」

おはよう、と高橋さんはわたしにくちづけた。そしてわたしの耳朶を甘噛みして起きあがる。細いわりに、しっかり筋肉がついているのが背中越しにもよくわかった。
服を着終わった高橋さんは、わたしの方を振り向くと、にやりと笑った。

「梓は耳が弱いんだよな」
「…わかってるんなら」
「かわいい」
「…やめてください、もう」

布団を頭からかぶりなおして拗ねたふりをすると、高橋さんはわたしの頭を撫でて、水飲んでくる、と言い残して台所へ向かった。
わたしもミシミシいたむ身体を起こして服を着る。今日の朝ごはんは何にしよう。



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title by パニエ


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