fn | ナノ


きみのその手は




君のその手は何を抱くんだろうね

ぼくが感じられないもの

ぼくが触れられないもの

ぼくに見えないもの


それらはぼくが知ることのできないもの

ただぼくも君が持っていないものを持っている

たくさんたくさん持っている


だけどぼくが欲しいと 羨んでしまうものは君が持っているんだ


君がその腕を伸ばして空に触れる時

指先で大気に線を描く時

「今日は世界がきれいだ」と

白く輝く街が瞳に映る時

そんなものは知らないとぼくは言う。


その肌で その目で その指で その腕で その唇で その鼻で その手で その脚で その足の裏で その胸で

君は何を知るの 君は何を感じるの

ぼくは知らない

そんなもの知らないから

だから、君に教わるんだ。


世界に捨てられ騙され裏切られ

道端に転がりながら尚

この世界を賛美し綺麗に笑う君を

唯一ぼくは信じている



友であり兄であり弟であり生徒であり師であり信仰する神のような絶対唯一の君を

今日もぼくは愛している



「今日はどこ行くの。」

「ジェラート食べに行こうぜ。あの店新しいフレーバー出たんだ、みんなの分も入れて全部買ってこーぜ!」





街が見渡せるゆるやかな坂を走る君

最近はね

ぼくも世界を美しく感じるんだぜ

君がいるならすべて鮮やかな狂おしいほど愛しい世界。



―― Now i can breeze.

僕の愛する君がいるだけで生きている世界が楽しくてたまらなくなる



[*前] | [次#]


×