ゆく年、くる年。
年越しカップラーメンの残骸と紅白歌合戦の行方。ああ、今年もあと少しかとほんのすこし、焦るような胸がわくわくするような。
「いずみぃ」
「ん?」
「オレね、年越しは泉の中がいいです。」
「こっち来んな、バカ」
こたつから芋虫みたいに体を曲げて、ケツのあたりでそいつがほざいた。
いやだと言うのにケツに噛みついてくる。ジャージによだれがついたに違いない。
「変態にケツ噛まれて年越しなんて、最悪」
「ね、しよって。サイコーな年越ししよ」
「話聞けよ。つーか、盛りすぎ」
「カウントダウンしながら腰動かすからさあ。サイコーじゃん、全国に数えられながら挿入」
「あああもう」
ケツを噛んだことで興奮したのか、変態はこたつに突っ込んでいた手を俺の股にまで伸ばしてきた。
あああ、もう、なんか、めんどくせ。
「じゃあしゃぶれ。」
「うわ、その言い方。」
「オッケーしたので十分だろ。サイコーの新年にすんだろーが」
「するする。はいじゃあ皮剥きますよー。失礼しまーす」
「失礼はいつもだよ」
年末だって年始だって、なんでオレたちってこんなにいつもと変わらないんだろう。
でもカウントダウンといっしょに、っていうのは心惹かれた。
それじゃ、よいお年を。そんでオレの中で今年もよろしく。
――― i'll say it every year, to you, noone say faster than me.
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