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B型彼氏

 


クラスの女子がこんなことを言っていた。


「B型の男は、男としてはすごいかっこいいし魅力あるじゃん?でも人間としてはほんと最低。」


 その後、俺は浜田んちへ。
俺は部活、浜田はバイト。
俺の帰りのがちょっぴり早くて、合い鍵で部屋上がって風呂入れてたら浜田が帰ってきた。


「ただいまー。」

「おかーり。俺もさっき着いて、今風呂入れてた」

「そ。あとどんだけ?」

「もーちっと」

「じゃもう入ろうぜ。二人で入れば節約節約」

「どーだか。」


 狭い風呂場に男二人、頭洗うのは浜田の係、背中ながすのは俺の係。結局なんだかんだで遊んじゃってお湯がぬるくなった頃、いちからひゃくまで数えて風呂から上がる。
 ベッドの前に座ると、浜田が髪を乾かしてくれる。
 俺が拭き取れなかった髪の水気をタオルでがしがしやって、それからドライヤー参入。髪の具合を確かめながらかけてくれるのが気持ちよくて、骨張った指に髪を梳かれながら、俺は結構気に入ってるこの時間を目を伏せて甘受した。

 カチンと音がしてドライヤーが止まった。髪から指を抜かれ、そのまま後ろに頭を倒すと浜田の顔が見える。そこで昼間聞いた話を振ってみた。


「B型男はかっこいいけど人間としては最悪だってさ。」

「え?それは俺に死ねってこと?」

「べつに。」

「否定しろよ。で、泉はどう思うの」

「そうだなあ」

 んー、と考える振りをする。


「当然最高の彼氏だろ」

「ウホッ嬉しいこと言ってくれるじゃないの」

「だからわかんねーやつはカワイソーだな・って」


 ベッドに頭をつくと、手のひらで額を撫でられた。嬉しかったのらしい。
 だってそうだろ?優しくてカッコ良くて、家事が得意で世話好きでバカの、大好きな大好きな俺の彼氏。
 俺はそう思ってるもの。ずっと、このひとだけ見て来たんだ。

 このひとだけが俺の最高のB型彼氏。
このあともひたすらいちゃいちゃして過ごす予定。


 あーあ、カワイソーなあのこは今ごろ、なにしてんのかな。


―― Don't you think so?

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