Echtzeit | ナノ
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2013 13th Oct.


 


とても優しい夢を見る事があった。

愛され、慈しまれ、可愛がられて甘やかされるだけの幸せな夢。

そこにいることは、あたたかい日だまりで眠るのとよく似ている。

優しいことと嬉しいことのすべてを与えてくれるのは、大きな手のひら。

撫でられるのも、抱き上げられるのも、そっと頬を撫でられるのも大好きだった。

何をしていても、何をされてもたまらなく幸せなのに、それなのに目を覚ますといつも泣いている。

何故か夢の中で感じた幸福以上に、とてもとても悲しくて、目を覚ましてしばらくは涙が止まらない。


それが何故か、何故なのか。

いつも明け方の部屋で思う。


今朝も泣いて、気が済んだ頃携帯を取る。

液晶に映るのは四月一日、午前五時を少し回った時刻。

相変わらずの春休みではあるが、一応今日から高校生となる。

だから今日は、以前からしようと心に決めていたことがあった。

でも、世界が完全に目を覚ますのはもう少し時計の針が進んでから。

だから、   は泣いたせいで熱を持った腫れぼったい瞼を下ろした。

やがて始まる健やかそのものの寝息とともに、部屋には朝の光が満ちてゆく。



今日がすべての始まりで

昨日がすべての終わりだった事を

まだ、夢に見るだけの   は知らない。

知っているのは、彼。

今日出会う、彼。

同じ今日出会った、彼。

一度捨てた今日をもう一度始めよう。


たとえ現実に深く傷付いたとしても。

すべては、   の望んだままに進んでゆく。



―― ≠Dream/=Real
   i know, but you don't know, NOW.


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