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2013 9th Jun.
【化け物は夢を見ない。】
対象に照準を合わせて引金を引く。たったこれだけの所作を必要とする銃というものを、三橋は愛用していた。
なぜなら簡単だからだ。指を一本僅かに引くと鉛玉が飛び出て、対象はこれもいろんなものを飛び出させてばたばたと倒れていく。人はもとより異形の淘汰もとても易くする武器だ。
日が経ち過ぎて腐敗が進行した異形をそれで蹂躙し、自分が立つ長い通路の暗闇に彼らの姿がない事を確認し、三橋は二丁を携える両の手を下ろす。
そしてそのまま振り返ると、ちょうど一体の異形の首が刎ねられる瞬間だった。
血や組織が腐れたような色の体液を僅か撒いて、それは崩れ落ちる。
彼の方も粗方片付いたのか、白刃に付いてしまった体液などを払うのをまばたきもせずにずっと三橋は見ていた。
手入れの良くされた刃は通路のほんのわずかな明かりすら弾き、刀身に沿って白い光の線を走らせる。
どす黒い体液を纏うのにその身に光を宿す鋼は、彼のきれいな色の瞳とよく似ている。
彼と視線が合うと、三橋はひとつ、思い出した事があった。
思ったままを口にする。別に親切心でも傷付けたい訳でもない。
それを考えることは、もうやめてしまったから。
「化け物なのに。」
「……?」
「中は、人間なのか。」
金色の円い瞳をそのままに、三橋は簡単に唇を動かす。それが紡いだ言葉は目の前の彼に向けたものだ。
三橋は、しばらく所属していた組織をつぶした後、別の組織に誘われ『特典』を引き換えに再び組み込まれた。
三橋を誘った組織の頭はまだ少年だが、その目の力と威圧感は人間の持つそれでない。この少年の隣にいつも寄り添っているものが、今共に異形の殲滅を命ぜられた、目の前の彼だった。
細身ですらりと背の高い彼は、三橋と同じ『適合者』だが、主に携えた刀を以てその力を発揮する。
三橋もそれを扱えない事はないが、接敵しなければならなかったり、更に数が多いと動きが細かくなったりするので使おうと思った事がない。
その点銃はいい。接敵させずに撃破が成るし、視界も広く持てる、体に残る感覚は撃った時の反動だけだ。
わざわざ肉に刃を埋める感覚を是とするのは、そういう嗜好を持っているか、確実性を求めているか、或いは他の理由があるか。
彼は、つらそうに異形を見る。もとは人間だったものに向けるその感情は、その刃で断った後も彼の瞳で燻り続ける。
戒めとして、彼は刀を持つのだ。異形になる前の、人間を斬る感覚と同じくして、罪を負おうとしているのだ。
そんなもの、化け物には必要ないのに。
優しい化け物なんていない。化け物であることに堪えられなくなるからだ。
かわいそうだなと三橋は思った。この世界は最早、あの少年や自分のような化け物しか許さないのだ。
「――……。」
きれいなだけで感情のない三橋の目を彼は見た。
それが真っ直ぐ見つめてくるので、三橋の断片的な言葉が指すのは自分の事だと気付いた彼は、視線を落とすと小さくため息をついた。
「なんかソレ、あいつにも言われんだよな。「変わった感じぜんぜん無ェ」とか。」
小さなため息のあとそれと同じかやや少な目の空気を吸い、彼は軽く愚痴るようにこぼす。
そのことが奇跡だということを、彼は知らないのだ。
化け物は化け物のこころをする。たとえ以前は人間だったとしても、そうなってしまう。
三橋がそうだったように。
結局、化け物の体にはそれ相応に、化け物のこころが据わる。そのはずなのだ。
なのに目の前の彼は易々と、彼の持つ奇跡を事も無げにしてみせる。
「そん時もオレ言ったけど、もとは人間だったんだから、別におかしいコトねーだろ。」
終わったから戻るぞ、と彼は踵を返す。その後ろを歩きながら、三橋は彼の末路を思った。
三橋が大切だったひとも、優しかったから壊れてしまった。彼は化け物になってしまったかわいそうな三橋を殺そうとして、三橋は大切だったはずのそのひとを反対に殺してしまった。
でももし、化け物になった自分が、人間のこころのままでいられたら、あのひとはまだ自分の隣にいてくれただろうか。
ぼんやりとそんな事を考えて、三橋は薄く笑った。
もう終わった事だ。自分はあの時から身もこころも化け物で、人間と同じところなど見てくれだけだ。
化け物でいい。そうでなくちゃ、あのひとを肯定できない。
一度瞼を伏せて再び上げると、長い通路のそこかしこに異形の成れの果てが散乱していた。
通路に脇道は無く、真っ直ぐに続く暗く汚れた道を見て、化け物は唇に笑みを刷く。
―― i'm not afraid.
Just continue walking to Death
( as a monster ).
三橋覚醒直後に阿部もぐもぐのルートではなく、しばらく阿部が生きてるルート。
ウイルス漏れしてクリーチャーの巣になった研究所から脱出して、本社に保護された覚醒三橋と研究員阿部。以降本社で三橋は覚醒したものの実験させてくれないので(無理矢理したら壊滅させられそうで出来ない)様子見で掃討とかさせられながらひまな時間は阿部の部屋でごろごろしてる。
研究員の阿部は本社でも同じ業務に従事だけども、三橋が阿部の言う事しか聞かないので仕事を言い渡したりもする。
が、やがて、覚醒して以前とまるで変わってしまった三橋から逃げるようになる。
三橋が感染したウイルスは阿部が研究していたそれで、最初はその責任を感じていたが、以前の三橋を思う阿部は覚醒三橋を見るたびに豹変ぶりが目につくようになり、結果彼から逃げるように。
あんなふうにしたのはオレだとか人殺しを躊躇なくするだとか人肉ラブになっただとかお色気半端ない事になっただとかで精神的に追い詰められまくった結果、楽にしてあげよう!とかいう優しさによる三橋殺害を計画。
それも結局叶わず、もう精神的に参っていた阿部が自殺する。
三橋は三橋で覚醒後の自分が以前と変わってしまったのは気づいていたが、仕方がないので阿部から伝えられる仕事をこなしつつ人肉もぐもぐしていた。
阿部の事は大切だったが、明らかに避けるような態度をとるので好きとか言ったら離れていくかもと思いこわくて言えずじまい。代わりにエロ三橋発動。
阿部死亡後は自暴自棄になって本社も壊滅させ、ろくすっぽ調べさせなかったので化け物になった自分の体の事とか寿命とか全然わからないし、いつか死ねるまでクリーチャーとか人間とかの掃討を始める。
しばらくして、クリーチャーの掃討をしている組織のリーダー田島と花井がヘッドハントにやってくる。でも三橋は今まで所属した研究所やら会社やらが壊滅してるしステータスが自暴自棄なので断る。
でも特典くれるとか言うので、所属する事になる。
田島と花井は、三橋たちとは別の研究所でウイルスの被験体としてとっ捕まっていた。
花井がウイルスぶちこまれてたまたま適合してる頃、田島もウイルス入れられそうになっていたが、反抗的だったので回復力もついでに見とくかって事で両手両足銃でぶち抜かれてた。
ウイルス適合して覚醒した花井が暴走して田島発見する頃には田島は虫の息で、死なせたくなかった花井は適合した自分の血を田島に飲ませる。その間組織壊滅。
田島は死ななかったものの適合者にはならず、花井の血でなんとか保ってる感じ。傷は完全に治りはしないけど、悪化もしないってところをうろうろする程度。
潰した組織はプレ実験用の人間製造工場(映画バイオ5参照)だったので、それを兵隊にしつつ生き残った被験体たちと共にクリーチャーの殲滅をしている。
田島代表。特別顧問花井。
三橋は武器銃だけど花井はサムライエッジ。
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