「寒いわ」
言うなり、ラケシスが俺の肩にもたれかかってくる。
「暖炉に薪くべて火をつけりゃあ良いだろ」
「そこまでは寒くないの」
まるで猫のようにすり寄るラケシスは俺の腕まで抱え込んで、目を閉じる。
甘えたいんかね。素直に言やあいいのに。
グイッと引き寄せて腕の中におさめて、そのまま座り込んでいる寝台に倒れ込めば、予想通り、ラケシスは怒りもせずに俺の背中に腕を回してきた。
「こうしてくれると思ってたわ。あったかい」
してやったりか、やられたのか。
クスクス笑う彼女の温もりを俺の方が手放せそうにない。