手放せない恋情(進撃の巨人・リヴァペト)





スンスン。

「ミケ分隊長?!」

古城にエルヴィンと一緒に来たミケが、廊下ですれ違ったペトラの首筋に顔を埋めるがごとく近付いてきたもんだから、ペトラは一瞬にして固まってしまった。新兵の頃にその洗礼は受けたことはあるものの、そうそう慣れるものではない。

「………」

そして鼻で笑う代わりに、何事かペトラの耳元で囁くと、ペトラの顔から首筋から、真っ赤になってしまった。

「オイ、ミケ。何してやがる」

低すぎて床に穴を開けそうなくらいドスのきいた声にもミケは怯まず、そのまま、その声の主、リヴァイに近付く。
下から見上げる強烈な視線にもたじろかず、逆にリヴァイに顔を近付けてまた何事か囁いた。
そして自分の鎖骨のあたりを人差し指でチョンチョンと差して、フッと鼻で笑うと立ち去っていった。

「…ペトラ、何言われた?」
「え…あ、その…あの…」

いやに歯切れが悪い。
リヴァイが目線で言えとばかりに促すと、キョロキョロと辺りを見回し、誰もいないことを確認すると、近付いて来て消えそうな小声で呟いた。

「…兵長の…匂いがするって…」

言った途端に座り込んで顔を隠すペトラの首筋に、今度はリヴァイが顔を寄せた。

「へ、兵長?!」
「…鼻だけじゃなくて、目ざとい。だからヤツは厄介だ」

忌々しげに言いながら、ペトラのシャツの襟元に指を走らせた。

「ななな、何を?!」
「コレを見つけるとはな」

シャツの襟元ぎりぎりの所に赤い跡。ペトラからはよっぽど注意しないと見えない場所で…

「いいい、いつの間に!?」
「昨日。いや、今朝だったか」

これまた何食わぬ顔で言うリヴァイの肩をポカポカとペトラは叩くが、リヴァイは全く気にせず、「だからか…」と小さく呟いた。

「何が、『だから』なんです?」

まだ怒った顔で聞くペトラの問いに答えるには、リヴァイは素直ではなかった。

ー彼女にはリヴァイの匂いと跡があるなー

それはつまり、彼女を手放せない自分を見つけられたということであり…

「どうしたもんかな」
「どうにかしてください!」

リヴァイの真意には気付いていないペトラに口の中で苦笑し、その姿すら愛おしく思う自分にも苦笑しながら、この執着めいた気持ちに気付いてくれるなよと密かに願った。















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