*Blue Sky

青い瞳の人は珍しくないけれど、彼はまた特別なの――



昼下がり、ベオウルフに膝枕をしてあげているのに、肝心のベオウルフの目は何かを思い出しているかのようにさまよっていた。

『もしかして…』と考えるより先に手が出て、彼の耳をつまんでいた。


「イテテッ」
「他のひとのことを考えていたでしょ」


『ひと』は勿論『女』という意味で使えば、案の定、私を見上げるベオウルフの表情はそれを否定してはいなかった。


「妬くなよ」
「悪い?」


悪びれもせずに言うものだから、よけいに私だけを見てほしくなる。
だから素直に妬いていることを認め、私は彼のクセっ毛に指を絡ませた。

「あなたにこういうことをしたひとはたくさんいるんでしょうけど…」


髪に絡ませていない方の手で彼の頬を撫でながら顔を近づける…彫りが深い顔立ちをしているから、これだけ近づかないと彼の瞳の色ははっきりとは分からない。
そしてこの近さでベオウルフと話したひとはどれくらいいるのか、どんなひとかは知らないけれど、青空のような彼の瞳の中には今は私しかいない。


「今は私のなんだから」


子供っぽい独占欲から、もしくは自信が無い自分に言い聞かせるためにこんなことを言うのかもしれない―ベオウルフはこんな束縛される言い方を嫌がるかも――


私の髪に彼の大きな手が触れ頬を撫でる…その表情は優しくて…


「ベオウルフ」


囁けば、青空に包まれる…過去はどうあれ、今ベオウルフの瞳に、青空の中に住んでいるのは私だけだと思っていいのよね…。



●END●






自分よりずっと年上なベオさんに対して自分はまだまだ子供だと思っていて妬いたりもするラケシスは書いていて楽しいですv…王族らしくないかもしれませんが(^^;)





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