*Amber

いつの間にか間近で見ることが多くなった琥珀色の瞳…「琥珀は虫とか入っているのがあるのよ」なんて言っていたのは誰だったか…とか考えていると、いきなり耳をつままれた。


「イテテッ」
「他のひとのことを考えていたでしょ」


『ひと』は『女』って意味なんだろうな。ずいぶんとカンのよろしいことで…。
耳を押さえながら見上げれば、琥珀色の瞳が不機嫌さを滲ませていた。


「妬くなよ」
「悪い?」


軽口を叩いたつもりがまたえらく素直に返されたもんだ。拍子抜けした俺の頭を膝にのせたまま、ラケシスは俺の髪にその細い指を絡ませた。


「あなたにこういうことをしたひとはたくさんいるんでしょうけど…」


髪に絡ませていない方の手で俺の頬を撫でながら顔を近づける。金糸のような髪が鼻や頬をかすめくすぐったい。


「今は私のなんだから」


ラケシスの瞳に映る俺の顔―琥珀の中に閉じ込められた虫はこんな感じなんだろうな…いつの間にか取り込まれ、逃げ出すことも出来ない。


完璧に捕まった―いや、そうなることを俺自身が望んだのだ。


ラケシスの髪に触れ、頬を撫でると、彼女は小さく微笑んだ。


「ベオウルフ」


輝きが増したその琥珀の瞳には確かに俺しか映っていなかった。



●END●




オフラインでも以前瞳の色には触れたことはあるのですが、白黒原稿ではなかなか上手く表現出来ないのでこういう形に…(文章でも上手く書けたかは疑問ですが;)
二人がどういう構図で話しているのかは『Blue Sky』で…でも何となく分かる?(笑)


しっかしベオさんの女性遍歴って実際のところどれくらいなのかしら(^^;)



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