*朝はそっと指先で
いつもよりもいくらか早く目覚めてしまったのだけどまだ起き上がらずに、私は傍らで眠る彼の頬にそぅっと指先で触れた。
夜番だったから私が寝ている間に帰ってきて、今も彼―ベオウルフはぐっすりと眠り込んでいた(いつもはたいてい私より先に起きて寝起きの私をからかうことが多いのだけど)
私の指が触れてもぴくりとも動かず、ただ規則正しい寝息が私を落ち着かせ、このまま目を閉じたらまた寝てしまうかもしれない。
そんな夢うつつの中、彼の横顔を指でなぞる。
眉間から意外と形のよい鼻…そして、唇…指にこの輪郭と感触を覚えさせるようにゆっくりと…。
「くすぐったい」
只でさえ低い声が寝起きのせいか更に低く聞こえた。
「ごめんなさい、やっぱり起こしちゃったわね」
起こすつもりはなかったんだけど、確かにくすぐったいわよね。
でも目を半分開けた彼の表情は、起こされたことにそこまで不機嫌ではないのでは…とも思えた。
だから私の方に体を向けた彼の顔を息が掛かるくらいの至近距離でのぞきこんだ。
「男の寝起きなんか見たって面白くもなんともねぇぞ」
空のように青い瞳が更に近づいたかと思うと、抱え込まれ唇を塞がれていた。
…私は目を閉じ、彼の首に腕を絡めると、しばらくはこの温かさの中で甘えることにした。
●END●
…唐突に考えついた甘々な話…『ベオの寝顔を見ていたい』という願望が出た話と言うか…;
本当はもっと朝らしい爽やかな話にしようと考えていたのですが、オオカミさんではムリでした(笑)
ラケ一人称は書いてて楽しいですね^^
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