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で、
『ふざけんな』
とか
『ガキ』
とか
『馬鹿』
とか散々言われる訳。
俺単純だからさ、殴ったり蹴ったりされるよりも言葉で攻撃されたら言い返せないのがさらにムカついて
『うるせぇ、だったら殺せばイイじゃねぇか』
っつったの。
あいつは
『…んな事するかよ』
って言って俺の上から退きかけて
そしたら俺さ、あー、またほっとかれちゃうなーとか思っちまって
まだ喧嘩したかったからね、あいつを怒らせるような事ないかなって頭フル回転させて
これだ!って思ったのを言ったんだよ、馬鹿にするように笑いながら『だったらお前をあのセンセイみたいに殺してやろうか、シカマルちゃん?』
てさ。
そしたら、あいつが息を飲むのが分かって痛いくらいにギリギリと腕を掴む手に力込めてきてさ
うひょー、怒ってる怒ってる、とか内心すごく喜んだのよ。
で、あいつが腕を掴んでた手を離して振り上げたから
殴られる!って期待しながら衝撃に堪える為にギュッと目を瞑ったんだけど、いつまでたっても殴られる気配がねぇの。
『………?』
どうしたのかなぁ、って目開けたらさ
あいつ思いっきり拳握り締めて俺の事見てて
その顔がさ、怒ってるの。
怒ってるんだけど今にも泣き出しちまいそうな目ぇしてて
俺は、心臓握り締められたよりもずっと胸が痛くなって
どうしよう
どうしよう
どうしよう
どうしようって何回も繰り返した。
言っちゃいけない事だったんだ。
『………』
『…っあ!おい!待てよシカマ――』
『うるせぇ』
シカマルは俺の上からなんにもなかったような顔して退いちまって隣の部屋へ行こうとしたから
慌てて起き上がって引き留めようと腕を伸ばしたんだけどこっちチラリとも見ないで今まで聞いた事ないくらい冷たい事で言うから、俺あいつの事引き留められなくて
俺を拒むみたいにピシャリと閉められた襖の前で石みたいに突っ立ってさ。
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