会話形式です。注意!





リ「追儺、か…」

九「先生っ…。そのように悲哀のお顔を…憂い、なさらないで下さい!先生は鬼などではありません…っ」

リ「いや、九郎。事実は変えられない――私は鬼だ。運命の流れに等しく与えられた私の業であり、名なのだ」

九「くっ…そうだとしても世が先生を忌み嫌う鬼と――悪だと言うのなら…っ俺はっ…」

譲「――九郎さんっ豆の袋を返して下さい!そんなに殺気立つ行事ではありませんからっ。無闇にシリアスにならないで下さい、節分でっ!」

九「――っだが…!鬼に向かって豆を『鬼は外、福は内』と言いながらぶつけるのだろう?先生を蔑んだ挙げ句…非礼を働くなんて俺にはっ…」

リ「九郎、躊躇う必要はない。それが私に求められる役割だ。任を果たし、厄を払おう」

譲「――そこまで使命感に溢れて頂いて大変有り難いんですが…鬼役はじゃんけんでしますから。先輩も鬼役やりたいって言うし…」

リ「神子の望むままに」

将「すげぇ変わり身だな、おい」

譲「あ、兄さんっ恵方巻き食べながら喋るなよ!方向もちゃんと向いて…今年は東北東だからあの冷蔵庫と電話の間くらいを見ないと」

将「お前…所帯染み過ぎだろ。青少年としては確実に間違ったベクトルで成長してるぞ」

譲「…それがゆくゆくは求められる人材になるんだよ、兄さん。外見的な魅力なんていずれは枯れ果て年齢と共に劣化していくものなんだ。そう――料理の出来る男が!炊事洗濯掃除裁縫庭弄りを得意とする男が結局は意中の相手の傍らで笑む事になるのさ!ね、景時さんっ」

景「えっ…う、うん。その通りだよ〜ははは…」

将「景時、コーヒーサイフォンに夢中で絶対話聞いてなかったぞ」

弁「譲君」

譲「はい?何ですか、弁慶さん」

弁「これ、切って貰っていいですか?ちょっと僕には大き過ぎて…」

譲「恵方巻きをですか?駄目ですよ。丸々一本に噛り付くのが慣わしなんでそのまま食べて下さい。ほら、意外と食べれるんですよ。ヒノエも食べてるでしょう?」

弁「いえ…だってあれ、大口を開けてむしゃぶりつかないといけないでしょう?……ネオロマンスの住人としてそんな醜態、流石に晒す訳にはいきませんよ」

ヒ「ブフォッ」

譲「ああ…言われて見ればそうですね。兄さんならともかく、弁慶さんみたいに優雅さを売りにしている人には少し酷でしたか…。分かりました、少し待ってて下さいね」

弁「理解して頂けて嬉しいです。僕も皆さんと一緒に譲君の手料理を頂きたいですから」

ヒ「ちょ…おっさんっ。聞き捨てならないんだけど!」

弁「何ですか米だらけで…拭きなさい。行儀が悪いですよ、ヒノエ」

ヒ「誰が吹かしたと思って…つーかアンタがネオロマとかそーゆー言葉口にしちゃ駄目だろっ幾ら何でも!あとそんなお上品さを気取る意味合いは今更全く無いからなっ」

弁「失礼ですね…遙かの中でも随一の上品かつエロボイスの僕が耽美を気取らなくて誰が気取るんですか。歌でもドラマCDでも聞いたでしょう?僕の活躍を。吐息から生される囁きの旋律…妖しく響く深みの音容――」

ヒ「おーい九郎。コイツに思いっきり豆ぶつけていいぞー」

九「ぶぉりいいのか、さっきぶぉり譲に止められてしまったぶぉりからぶぉりな。先生に、ぶぉりではなければぶぉり気兼ねぶぉりなくぶぉりぶつけぶぉりられるぶぉり」

弁「良い度胸してますね。売られた喧嘩は買いますよ」

譲「――弁慶さん出来ましたよ。これで…ってあー!!九郎さん何食べるんですか!?投げる前にっ!」

九「意外と美味いな」

譲「美味いなじゃないです!二袋しかないんですよ、しかも食べるのは年の数だけですからっ」

弁「ふふふ。九郎、物凄く長寿ですね。殆ど空じゃないですか」

譲「…まぁ、あと一袋を皆で分ければいいですけどね…もう。最悪十の位と一の位を足した数を食べる豆の数とすれば十分足りますから…」

白「神の私ぶぉりはぶぉり二ぶぉり桁じゃぶぉり足りないよぶぉり譲!このぶぉり袋の豆ぶぉりだけぶぉりだと少ぶぉりないぶぉりぶぉり」

譲「白龍!?お前…それ最後のふく…ろ…」

ヒ「まー神様がご満悦なんだし、いんじゃない?豆撒きなんかしなくてもさー」

譲「馬鹿!そう言う問題じゃないっ。…先輩と朔がもうすぐ来る――先輩がっ…皆で豆撒きしたいって言ってたんだよ…!やらなきゃどうする八葉だろ!?」

ヒ「いや…確かに姫君の憂う顔は見たくないけどさ…そこに使命感を見い出して同意を求められても正直困る」

敦「――譲。良ければ私が代わりの物を買って来ようか」

譲「いや…駄目ですっ敦盛さん!家から一番近いコンビニは今の時間でも開いてますけど…季節物はかなり高いんです!少し遠いけど二十四時間のスーパーがありますから俺、ちょっと行ってきますね!」

敦「あ、ああ…」

弁「すっかり主婦ですね」

ヒ「将臣泣いてるぜ…」

リ「そっとしておいてやりなさい」

景「分かるよ…君の気持ちはとても…」






リズ先生が冒頭に言ってた“追儺”は節分の元となった行事だそうです。大晦日にやるものだそうで…へー。



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