ストッキングをやめるなんて許さない古町くん(ボツネタ)
2020/07/15 06:51
「なんか前から思ってたんだけど、高校生でストッキングはダサくない?」
ある日クラスメイトの女子にそう言われた。
日頃自分が愛用している物に対してそんな風に考えたことはなかったので、かなり衝撃だった。
言われてみれば……自分の周りの女子はみんな短めのソックスだ。若さを感じるような綺麗な脚を惜しげもなく晒している。
学園内のストッキング派は極少数だ。
自分の場合は生足に抵抗があっての選択だが一応こだわりもあって、心なしか細く引き締まって見えるすっきりとした履き心地の30デニールの薄さを気に入っていたのだが、まさか周りからはダサく見えていたなんて……。
物凄くおしゃれになりたいとか流行に敏感とかではないが、身なりに関しては最低限は気をつけて置きたいのでこんなにはっきり指摘されると、急に意識してしまう。
「私もみんなみたいに靴下にした方がいいのかな……?」
「その方が絶対いいって。なんかストッキングっておばさんっぽいじゃん」
「そうなんだ」
「この際だからスカートも折っちゃえば?きっと似合うよ」
……ショックを受けたとは言え、気軽に足を露出するのはやっぱり気が進まない。
こういうのは一人の意見だけを鵜呑みにはせず、他の女子やみづ梨にも相談してみた方がいいだろうとあくまで冷静に考えていたが……。
「君、クラスメイトから余計な事を吹き込まれたんじゃないか?」
放課後。昇降口に向かう途中の廊下で古町恭太郎に捕まった。よっぽど急いできたのか珍しく息が弾んでいる。
一瞬何のことか分からなかったが……心当たりと言えばストッキングの事しかなくて。
上級生で教室も違う彼が、その日の内にどこでその話を知ったのだろう……?
「その……ストッキングは高校生ではまだ早いらしいです」
「そんな事は無い。絶対に。違う。“流行”と“常識”は違う。流行はあくまで流行であって人に強要するものではない。そんな風に世間一般の常識の様に語って、己の価値観を人様に押し付ける人物とは今後必要以上に関わらない方が賢明だ。……いいな?」
両肩に手を置かれ、ジッと見つめられながら言われると、いつもより力強い恭太郎の口調もあって洗脳されているような気分だ。
勢いに圧される形で頷いてしまう。
「そもそもストッキングは万能なファッションだ。機能性・見映え共に優れているし種類が豊富で冠婚葬祭の際にも使用される。寧ろどこがダサい?俺からすれば、一時的なトレンドに踊らされて他のファッションを見下す行為こそダサい。
つまり……君は君の好きな格好をすれば良い」
「……じ……実は、靴下もちょっと試してみようかなって思って……ハイソックスぐらいなら、」
「駄目だ止めろ。良い子だから大人しくストッキングを履いて置け」
理不尽!
××××
□ボツ理由□
アホっぽい古町くんを書こうとしたら予想以上に変態っぽくなったのでボツ。
……作者は最近の女子高生のトレンドについて全く知識なんてないので、実際に靴下の方が流行っているかどうかは分かりません。
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