天馬との年の差が気になる話(ボツネタ)
2020/07/08 20:11

夢主=◯◯表記

※モブ女子の性格が悪い。


思えば、同年代の波長の合う者達と共通の話題ではしゃいでいた高校時代が◯◯にとって一番気楽だったかもしれない。

今では仕事となれば年代の違う様々な者と関わる機会は多いが、年齢が反映された価値観の違いや差を時折感じる時がある。

それは――年下の恋人である天馬に対しても同じだった。

その日は偶然……本当に偶然、◯◯は天馬の通っている高校の近くを歩いていた。

天馬はあまり学生服姿を見せないが同じ学ランを着た男子やセーラー服の女子と時折すれ違いながら、「天馬くんも下校中かな」なんて考えていると。

「天馬ー!待ってよー!」

聞き間違い。同姓同名。色々考えたが、はっきりと通る女の子の声で呼ばれていたし、天馬の名前は一般的に珍しい方なので同じ学校に二人も存在するとは思えない。

と言うことは……。

「追いかけてくんなよウゼェ」

「だってあんた、田中先生の授業中寝てたでしょ!もうすぐ小テストだしノート写させてあげるから、うち来なよぉ」

「は?誰が行くかお節介ブス」

「こんなに可愛い女の子に対してブスとはなによ!」

「いってぇ!殴んなよ暴力ブス」

目線の先には……じゃれあっているようにも見える高校生の男女。

天馬は怠そうにしているが、強く女子を拒絶してはいない。

――天馬くん、同級生の女の子にはあんな感じで遠慮ないんだ……。

お似合いというか、とても自然な光景に見えた。まるで普通の高校生カップルだ。

例えば、○○と天馬が並んで歩いていたとしても絶対にこうは見えない。良く見えて『姉と弟』という感じだろう。

そんな事はわかりきって交際しているはずなのに……何だか『差』を感じて動揺している自分がいた。

「――○○さん!」

不意に、天馬がこちらに気が付いた。

パッと明るくなった彼の表情と高くなった声のトーンに、女子が少し驚いている。

天馬は飼い主に全力で尻尾を振る子犬のように○○に走り寄ってきた。

「どうしたんスか?仕事終わり?」

「いや、ちょっとこの辺りに用事があった帰りで、」

「用事ってなんスか?」

「あはは……そんなたいしたことじゃないよ」

「じゃあ別に教えてくれていいじゃないスか。俺に言えないような事?」

「そうじゃないけど、」

露骨にムスッとする束縛強めの天馬に苦笑すると、彼の後方からじろりとこちらを睨む女子とふと目が合った。

あっこの子、天馬くんが好きなんだな。と、すぐに察した。

「天馬ー……あんまりしつこく聞くとその人困ってるよ?」

多分とても要領がよくて器用な女の子なのだろう。さりげなく天馬と○○の会話に潜り込んできた。

「お前に関係ねぇだろ。早く一人で帰れよ」

「ちょ、天馬くん言い方っ」

「ていうか“オネーさん”、天馬とどういう関係なんですかぁ……?」

これは明らかに○○に対して問いかけられていた。

女子からは己の若さを誇り、○○を侮っているようは態度が伺える。

ここで「付き合ってるよ」と、はっきり宣言出来るくらい図太ければ問題ないが、元々少なからず天馬との年の差を気にしている○○からすれば答えにくい質問この上なかった。

周りに他の生徒もいるし、返答によっては天馬に恥をかかせる訳にはいかない。

慎重に長考する○○に焦れたのは、天馬だった。

「○○さんは俺の彼女だけど、それがお前になんか関係あんのかよ」

「えー天馬ってば年上と付き合ってるんだ。何歳差?」

「5才だけど」

「思ったよりあるね。上手く隠さないと捕まっちゃうんじゃない?で、5歳差ってことは……“私ら”が25歳の時オネーさんは30歳になるんだ。そうなったらもうオバサンじゃん、ウケる」

……女子高生がその場の流れで言うことだ。それに彼女は天馬が好きみたいだから、嫉妬もあるのだろう。
「最近の子は思っていることをはっきり言うな」ぐらいで○○自身は強いショックは受けなかったが。

天馬は違ったらしい。

「――お前もう、マジで早く帰れや。それで二度と話しかけてくんな」

明確な怒りの宿った声に、その場にいた全員がゾッと背筋を震わせた。

××××


□ボツ理由□

単純に飽きたので……。

天馬ははっきりしているヤツなので、同級生の気に入らない子にはクソ対応です。口にする言葉はツンデレとかではなく全部本音です。それでも女の子相手だと少し気を使ってます。



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