2011/06/30 19:42




きっかけは些細なことだった。
昼食を購入しようと街に出たところ、所謂強盗事件に遭遇したのだ。
しかし僕はヒーロー、拳銃一つしか持っていない強盗犯など何も怖くはない。
一人の負傷者も出すことなく犯人を取り押さえ、通報を受けてやってきた警察に引き渡した、までは良かったのだ。
問題はその犯人が実はNEXTで、少し、いや、かなり変わった能力を持っていて、逆恨みとばかりに警察に引き渡す直前にその能力で僕を"攻撃"したことだった。

その結果、


「可愛いー!」
「とりあえず私の服貸してあげるから着なさいよ。」
「でも驚いたわねぇ……まさかこんなことになるなんて。」






………僕は、女性に、なってしまった。







「その物の性質を24時間正反対にする」というのが犯人の能力だった。
つまり、僕は男性という性質を正反対にされてしまったということになる。
24時間すれば元に戻るので問題ないのだが、やはり精神的ショックが大きい。
無いはずのモノが有って有るはずのモノが無いというのは………かなり不安だ。
しかし、休憩室にいたヒーローの女性陣三人(約一名正確には女性では無いけれど)が色々と世話を焼いてくれたのが不幸中の幸いだったか。
僕は、今こうして身の丈に合った服を着ることができている。


「とりあえずタイガーには連絡しておいたわよ?
あ、もしかして嫌だった?」
「いえ……ただ、なんて伝えたんですか………?」
「"一風変わった能力の攻撃でちょっと見た目が変わってしまった"って言っておいたけど。」

ファイヤーエンブレムの気遣いに素直に感謝した。
女になったと知ったら彼は会いに来ない、そんな気がしていたから。

そして、




「おいっバニー!!いったい何が…って………バニー………?」





僕の予想通り、僕を見た彼の目には、驚きと冷ややかさが現れていた。


「…つまり、しばらくすれば元に戻るんだな?
じゃあよかった、心配して損したぜ。」
「そうなんだけどさ、見てよタイガー!
バーナビーこんなに可愛いんだよ!」
「あ、ああ……じゃ、俺用事あるし戻るな!」

一度だけ僕の方に冷たい視線を向けた後は二度と僕を見ずに出て行った。

「変なタイガー!
てっきり喜ぶと思ったのに…。
ってバーナビー?」
「ぼ…僕も帰ります……。
これじゃあ何もできませんし。
ブルーローズ、今日一日服お借りします。
後日、洗濯して返しますから。」
「ちょっ……ちょっとバーナビー!?
二人してどうしちゃったのよ本当に……。」








オジサンの気持ちは知っている、わかっている。
でも、頭で理解しても、気持ちが追い付くわけではない。
それを教えてくれたのがあなただからこそ、このままではいられないのだ。
心は怒りとも悲しみとも取れる感情で高ぶっているのに、頭は恐ろしいほど冷静に働いていた。


そして、



「……誰だよ、こんな日付も変わるっていう夜中に人の家に来る非常識な奴は………って…バーナビー!?」
「…………………。」
「何か…あったのか?」
「…………。」
「…とりあえず、もう遅いし、中入れ、ほら。」



深夜に僕は彼の家に押し掛けた。







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