2011/05/05 19:28



「最近反抗期なんです、あの子。」
「あんなにあなたにべったりだったのに。
それは驚きですね。」

困っちゃって、と言う割に彼女の表情は穏やかだ。

「私の言うこと全てが気に入らないみたいなの。
子供扱いするなってすぐ怒るんです。」
「まるで、僕にすぐ怒るあなたみたい。」
「……なんですって?」
「わあ、怖い。
親子って似るんですねえ、やっぱり。」
「私はあなたが嫌いだから声を荒げてしまうんです!」
「はいはい………で、それはいいとして。」

困ってると言う割に悩んでなさそうに見えるんですけど。
と言えば彼女は今度はふふっと笑った。

「嬉しいんです。
子供扱いするなって言うってことは、自分は自分っていう意識が生まれてきたということ、成長の証と言えますから。
……でも、少し寂しい。」
「寂しい?」
「いつかあの子も大人になって私の側を離れていく。
成長を実感する度に別れが見える気がするから。」
「………。」
「でも、あの子が私の子供であることはずっと変わらないですからね。
子供扱いするなと言われてもヴァルは私の子だもの、仕方ないわ。」


「ヴァルが怒るのはあなたのそういうところじゃないですか。」




「えっ……?」
「じゃあ僕、そろそろお暇します。」
「ちょっと!ゼロス!?」



家の外に出ると待っていたのは明らかに不機嫌な表情の少年だった。

「フィリアと何話してたんだ。」
「君のことですよ。」
「どういうこと…だよ……」
「最近ヴァルが反抗期で困ってますって言ってました。
子供扱いするなってすぐ怒ると。」
「それはっ……!!」
「それは、なんですか?
どうして言わないんですか?
息子じゃなくて一人の男として見て欲しいと。」
「言えたら……言えたら苦労してねえし言えるわけないだろ!!」
「そうですか、まあ僕には関係ありませんし。
失礼しますよ。」


愛とか恋とか、生き物は何故そんな面倒な感情を抱くのだろうか。
それが生きるためらしいが、僕からすれば、くだらない物にしか思えない。

そう、くだらないし、関係ないはずなのに。

あの竜族の母子に会う度に、興味を抱いてしまうのは何故だろう。






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