2011/05/05 11:53



久しぶりにあの竜族の母子の家を訪れた。
一応危険因子扱いである古代竜の少年の様子を見ることは仕事の一つではあるけれど、少年が再び世界を滅ぼすような可能性は限りなく低いと僕は考えている。
つまり、ここを訪れることは仕事という名の休暇、休みたい時にここ来るのだ。

前世の記憶を清々しいほどに全て失った少年は、皮肉なことに、あんなに神魔の狭間で運命に振り回された前世を送ったにもかかわらず、いや、それ故か、自分が竜族であるとか、魔族が敵であるということがいまいち理解できないらしい。
そう、何故か彼は僕に非常に好意的だ。
小さいころ、「将来はゼロスみたいになりたい」と言って母を泣かせたのはまだ記憶に新しい。
最近は流石にそんなことは言わなくなったけれど。

「こんにちはー」

一応扉の前で声をかける。
返事が無い。
中を覗くと薄暗い。
時計を見るとちょうど買い物に出かけている時間だった。
彼女は毎日決まった時間に買い物に出かける。
僕としたことが忘れていた。
仕方がない、中で待たせてもらおう。
魔族には家の鍵など無意味だ。

誰もいないかと思ったら、二階から何かの気配がする。
二階―少年、すなわちヴァルの部屋がある。
どうやらヴァルは一人で家に残ったらしい。
人間ならまだしも、竜族である彼が客人に気付かないとは何かあったのか。
二階の部屋の鍵は空いていた。
そっと、覗く。



「…ん……は………ぁ……」


ああ、そういうことですか。
少年はいわゆる自慰行為をしていた。
彼ももうそんな年頃か。
生き物の成長は早いものだ。
と、若干微笑ましく思っていたのも束の間。
彼の口から漏れた言葉に僕は愕然とする。


「…ぅ………ぁん……ゼロス………」


今、僕の名前、呼びましたよね?

フィリアさんが知ったら泣くだろうな…。
息子の性的興奮を覚える対象が魔族だなんて。
そしてこの子はどこまで馬鹿なのか。
僕は!魔族ですよ!
呆れを通り越して面白くなってきた。

「呼びましたか、ヴァル。」
「…んぅ………ん…ゼロス………ってえっあっ!?」
「返事が無いので勝手に上がらせていただきました。」
「わっあっうわあああああ!!!」
「いやあ、それにしても夢中になってましたねえ。
フィリアさんが忘れ物を取りに帰って来たりしたらどうするつもりだったんです?」

口をパクパクさせている。
動揺し過ぎて声も出ないらしい。

「全く、君はしょうがない子だ。
出血大サービスで手伝ってあげますよ。」

僕に血は流れていませんがね。

「えっ……えっ……てっ手伝い!?」

右手の手袋を外す、というか消す。(魔族にとっては服も体の一部のようなものだ)
そして彼の性器に触れる。

「別にいいからっ離せっ!!」
「急所、潰されたいんですか?
大人しくしてください。」




軽く擦ってやっただけなのに、顔を真っ赤にして息も絶え絶えの様子だった。
魔族に性行為という概念は無いから理解はできないけれど、本当に気持ちが良さそうだ。

「…ゼロス……」
「なんですか?」
「……離せよ………」
「嫌です。」
「だからっ……その…もう出るから…」
「なおさら嫌です。
相手は嫌がることはもっとしたい、魔族の本質ですよ、ヴァル?」
「もっ…もう無理ぃ……」
「出せばいいじゃないですか、ねえ?」





右手全体で受け止めた白い液体。

「ふぅん、これが精液ですか。」
「あっ俺っ……!!」

ベッドに垂れそうだったのでべろりと舐めてみた。
甘そうに見えたけれど苦い物らしい。

「お前っ舐めて……やめろよ汚いだろ!!」

そう言う少年の性器はこの状況を見てまた興奮したらしく再び立ち上がっている。




「本当に……君はしょうがない子だ。」





少年の母親が帰って来るまで、あと、一時間。










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