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愛されたのは、いつだっけ。

昔はもっと誰かと触れ合うのは気持ち良かった気がする、家庭だって温かくて、家族は宝物、とも言えたはずなのに。普通だと思ってたのに、そもそも普通ってなんだろう、幸せってなんだろう。

幸せにならないといけない、だなんて決まっていないから不幸という言葉ば生まれたのだろうか。





気が付けば父親は居なかった、そしてその事に母親は泣いていた、幼かった私は必死に泣かないでと言ったのだろう。その時は母親は優しく抱き締めてくれた記憶がある、この頃までは私は愛されていた。
あれは中学生の半ばぐらい、母親がなかなか帰って来なくなった、やっと帰って来た日は嬉しくて思いっきり抱き着いた、すると母親は私を叩いた、血迷った瞳でこう言った。


「なんで私がこんな苦労をしなきゃいけないのよ」


ばしん、ばしん、たくさん叩かれた、痛みよりも言葉に詰まった。苦労してる、私達のせいで、辛い思いをしてる、感じてる。されるが侭に母親に叩かれていたら止んだ、ヒロトが止めてくれたらしい。
ヒロトは私を抱き締めてくれた、我に戻った時私は頬がじんじんと熱かった、痛かった、なのに涙の一粒も出なかった、今でもなんで泣かなかったのは分からない、自己表現すればよかったのかと思えばそんな訳でもない気がする。
母親は私に謝った、それなのに、やっと帰って来たと思えば私を叩き、殴り、蹴り、ヒロトが止めると謝ったがそのうちに母親は謝るのもしなくなった、沢山のお金を置いてまた居なくなった。

次第に私も家に帰らないでひたすらに体を売っていた、世間では売春、と呼ぶらしい、軽蔑や他人の目なんて痛くも痒くも辛くもない、私は私であると信じ込んでいた。

そしてそれはひとりぼっちを生んだ。

死にたくないの、だけど消えたい、泡になれたらどんなに素敵な終焉なのかしら。


でもそれは違う、知るのは遅すぎたのかもしれない


誰かの言うことを聞けば私は良い子、で居られるのだろうけどそれじゃあ私はただの人形じゃない。

私はあなたの人形でもないし、装飾品でもないの。

こう主張すれば何か変わっていたのかな。






A lonely child
(ひとりぼっちの子供)





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