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家の玄関に立ち、携帯を開いて時間を見ると23時。
ヒロトは寝ているだろうかと時間に帰ってきたのは満更でもなく仕組んできたのに決まってる。
静かに扉を開いた、真っ暗で無音な室内に足を付けた
バタン、どこかの部屋の扉だろうか大きな音に驚いたのも束の間に私は誰かに抱き締められた。
安心した、この体温と香りに。
『ヒロト…?』
私が確かめるように名前を呼ぶと抱き締める力が強くなった、ああヒロトだ。
暗闇の中体が浮く、ヒロトに抱えられたのかそのまま部屋に連れてかれ、ふわふわの感覚のする物の上に下ろされた。ヒロトの香りが強くなった、きっとヒロトのベットの上だろう。
キシリとベットの軋む音が鳴った、ヒロトが上に居るんだろう、そのまま私の首元にかぷりと噛み付いた
『あ、……んゃ』
甘ったるい、自分でも思った。
噛み付いた所が熱を持っている。
「遅いよ……」
やっと聞けたヒロトの声にまた涙が溢れそうになった、私はヒロトの声に弱すぎる、酔いすぎる。
ぷちぷちぷちとワイシャツのボタンを外されて胸元にもちくりと痛みが走る、噛み付かれた。
腰に腕を回され優しくふんわりと抱き締められる
「…また帰って来ないかと思った」
ちくん、さっき噛み付かれた首元にまた痛みが走った、胸にも違う痛みも走った。
胸の痛みはさらに増してゆく、これはヒロトに対する想いが吹き荒れているに違いない
『ごめんなさい、ごめんなさい』
さっき止めたはずの涙が次々と頬を伝って流れていく、泣きたくなかったのに、何で、私は弱い姿を見せるのはもう嫌だったヒロトに私という重荷を背負ってまた更に私の感情までもに振り回されて、いつまでもヒロトに甘えていちゃいけないのに、だめなのに。
私は本当にひとりぼっちになってしまうのに。
「…何も考えないで、俺の名前を呼んで、」
ぎゅっと抱き締められて温かい体温を感じる
必死に私は言葉を声に表した、いかないで、いかないで。
『ヒロト、ヒロト、行かないで』
「何処にも、いかない」
もどかしい気持ちのなか、私とヒロトはまたお互いの体を重ねた。
Over and over again
(何度も繰り返して)
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