真夏が過ぎて、ほがらかに木の葉が舞い落ちる秋
読書の秋とは上手く言ったと思う、室内に暖かい風が流れてくる。
彼女の元気が無いのに私は気付いた。
それにそわそわとし落ち着きのない様子。
気になって仕方がなかった私は彼女に声をかけることに。


「れい」
『はっ…はい!?』
「さっきから落ち着きがないな」


時が過ぎれば過ぎるほど彼女は表情が豊かになっていったのは嬉しい限りだが、いつもは真面目…というのか真剣に物事を成し遂げる彼女が焦っている様子は初めてだった。
私の言葉に少し言いづらい感じのようだ。

目線をチラリと合わせると直ぐさまに反らした様子に少し胸が痛い、否、痛いというか、少し温かい痛みで…何と言えば良いのか。


『あの…シランが、猫が…昨日から帰って来なくて……』


小さな声を震わせて彼女は言う。
涙ぐむ彼女に私も辛い気持ちになる
猫…春ぐらいに拾った子猫の事だろうか。
彼女はあの白い子猫をすごく可愛がってたからか、様子が可笑しくなるはずだ
それに彼女は勝手な外出はお父様から許可されていない、外出する時は場所が限られておりそのためか彼女は探しにも行けない事を思い出した。
彼女は悪魔でも私達の世話係だから。


「昨日のいつ頃からだ?」
『えっと…夕方ぐらいです……』
「そうか」
『…ガゼル様?』


私はれいの手を取って玄関へ向かうと彼女は私の行動に疑問を浮かべている様子だ。
私は靴を履きかえ、彼女を見るとまだ意味が分からない様だった。
ふぅと溜め息を私が吐くと彼女はビクッと体を震わせた


「早く靴を履け、探しに行くに決まってるだろう」


私がそう言うと彼女はきょとんとした後、優しく私に微笑みを向けた。

その笑みにドクンと胸が高鳴り、私の体は熱くなった。

(悲しい表情はみたくない)



不索





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