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『晴矢!』


息を切らして晴矢の方へ向かう
晴矢は私を見るなり腕を広げる
その腕の中に包まれる私。
そしてまた感じる、晴矢が好きって。
誰よりも好きで大切だって。


「…馬鹿」
『ごめんなさい』


私の視界は晴矢の胸でうめつくされていて。
でもこうしていたほうが私には良かったから
ぎゅっと晴矢を抱き締める腕が強まる。


『あのね、晴矢に伝えたいことがあります』
「俺も月子に伝えたいことがある」
『私から言わせて』
「やだ、俺から」
『私から!』
「俺が先!」


晴矢の目線がジーっと頭に刺さってるのが分かる
私も目線を晴矢の胸に指すように見つめる


『じゃあ一緒に言おう?』
「…しょーがねーな」



スウッと息を吸う。
私は晴矢と目線が合わないように晴矢の耳元まで顔を近付け
晴矢は私と目線が合わないように私の耳元まで顔を近付けて。






「『好き』」




唇にそっと、優しく触れた
じんわりと体に染み渡るような甘い疼きが支配する

晴矢から伝わるような温もりから
甘さ、苦さ、痛さ、愛しさ私を動かすもの全て
唇から流れてくる、そして体内に取り込む。

こんな思いをするのもこんな思いを抱くのも
晴矢だけ、晴矢しかできない。

唇が離れ、目線がばっちり合う。
いつもより真剣な金色の瞳で見つめられる。


「これからは俺が、一番先に月子を守るから…だから」
『うん……』
「俺を、一番に呼べ」


晴矢は最後まで言い終わると真っ赤に顔を紅潮した
それに何だか、何とも言えない気持ちが高ぶる。


『わかりました、』


私が笑うと夜風がそっと二人を包んだ




二人を照らしていたのはひとつの月と無数の星。



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