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『んー…』


目を開けたら朝。
体がとても軽い、昨日はあんなに雨に濡れたから
しばらくは起きることは出来ないと思ってたのに…


『なんでだろ……あ!』


昨日、晴矢にキスされて、
風邪って移すと治るって聞いたことがある。
まさか……


「お、月子……ぶぇっしょん!」


なんて合わせたタイミングなんだろう
そのまさかのまさか、晴矢に風邪が移ったんだ
私よりは症状は悪くないけれど。


『あ、の…晴矢、』
「……んあ?あ、えっと…言いたい事あるんだ」


晴矢は昔から寝起きが悪くないのは変わってないみたいで眠そうな感じはあんまり見えない。
しかも全然平気そう、昨日の事とか忘れてる?
言いたい事って、昨日の事より重要だから
そんなこと……で済ましちゃったのかな
だったら、少しショック
…そして晴矢の顔が直視できない


「あのよ、昨日遅れた事、月子にも関係あるんだ」
『私、にも?』


私に関係して遅れたってこと…だよね?
チラリと精一杯晴矢を見ると目がいつもより真剣で
心が持っていかれそうになる


「昨日の朝、ヒロトから月子について調べてた事が分かったらしくて…その、」


ヒロト、調べててくれたんだ。
調べたことはやっぱり私の記憶だよね
曖昧な記憶、あれから頭の中を探るように思い返したけれど私はお父様の顔さえも思い出せないの。
ここに来て、マンションに置いてあった家具や服、
必需品の物全てが揃ってたことにお父様に感謝した
だけど、その時お父様の顔は思い出せなかった
大切な人なのに、私の頭には残ってなかった
真剣な晴矢の目が少し虚ろになる


『……晴矢、言って?私なら大丈夫だよ』


私はゆっくり笑った
なんとなく、今から伝えられることに私は必ず驚く
そう思う、少しだけ怖い
けど知りたい、私の記憶を埋めたい
これじゃ寂しいから。


『8年前、月子が倒れて病院に連れてかれた時はもう息はなくって…植物状態だったんだ、だけどお父様が必死に医者に頼んだんだ何がなんでも助けて、いくらでも出すからって』


瞬きを止めてしまう
私はなんにも知らなかった過去があるんだ。





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