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レアンちゃんとも別れて晴矢と2人になる
何だか言葉が出ない、口が重い。
いろいろな事で胸が傷んで、痛んで、苦しい


「それで月子、どうしたんだ?」


晴矢のいきなりの言葉に吃驚して肩が上がる
秋ちゃんに言われてスッキリしたはずなのにこれじゃ何も変わってない、否、変わった、けど元通りになっただけ。

それでもまた挫ける訳にはいかないんだ
前を向かないと、私は。


『今日は部活ないんだって聞いたから…
一緒に帰りたくて』


私は晴矢の鞄を渡す


「わざわざありがとな」


晴矢は笑って私から鞄を受けとると帰るか!と
私の頭をぽんぽん軽く叩いた。
やっぱり晴矢は温かい
好きなの、好きな晴矢の体温に心まで染みる


「…あのよ月子は本当にレアン覚えてないのか?」

『う、ん……』
「仲良かったのにな…」


晴矢は空を眺めるように上を向いて言った。
いきなり抱き着いてくるものだしね仲良かったんだろうレアンちゃんと
でも私の記憶には晴矢とヒロトと風介と遊んだ記憶しかない
後は病院で過ごしてた記憶だけ。

レアンちゃんは覚えているのに私は覚えてない。
どうしてなのか、私には忘れている感覚がしなくて
忘れてる、というか体は覚えてる感覚が気がするけれど、頭に浮かばない。
もしかしたらレアンちゃん以外にも居るのかな


『ねえ、晴矢レアンちゃん以外にも昔、
仲良かった人は居たの?』
「んー…ヒートとか、月子覚えてないか?」
『ヒート…?』


何だか懐かしい名前、けど分からない。
私、こんなに忘れやすかったっけ……


「ヒートは月子と同じで体弱かったし、良く喋ってたじゃねーか」
『う……分かんない』
「マジかよ、月子そんなに記憶力なかったか?」


そんなに記憶力なかったことはないと思うけど…
他にもいろいろな人の名前を教えてくれた晴矢だけど1人も思い出せない。

仲良かった、と晴矢は言うけど分からない。

せっかく久しぶりに晴矢と帰ったのに疑問が深くなっていってしまった。

自分が分かんない、分からない。
深く考えたくなかった。
私の記憶には、お父様とヒロトと晴矢と風介
それに病院の先生達。

最近だとサッカー部の皆や秋ちゃん。

それ以外に深く関わった人は頭に残っていなかった。



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