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「じゃあ兄ちゃん姉ちゃんばいばーい!!」
「おう!気を付けて帰れよ」
『ばいばーい』


6時過ぎになると、子供達は私と晴矢に手を振り、帰って行く。
子供達は私と晴矢が見えなくなるまで
手を振っていてくれた。

楽しかった、とても。
本気で笑顔になれたのは久し振りに感じる
辛いならしなければ良いだなんて違ったんだってこの日知れた事で何か体が軽くなったような気がした。
重々しく思っていた気持ちも、体も、
今はふわふわ浮いているみたい。

だけど晴矢は私をどう思ってるんだろう
後、ヒロトと風介も。
都合良いとか、自分勝手だとか思われるかな
それか怒られるのどちらか。
チロリと晴矢を見上げると目線が合った。
ギクリとでも効果音が鳴りそうに
肩が上がってしまう。


「帰るか!」


けれど晴矢はニカッと私に笑みを向けた。
びっくりして目が点になりそうになる

だって絶対何か言われるかと思ってたから


『は、晴矢……』
「なんだ?」
『何も、言わないの?』
「あー……」


尋ねると晴矢は言葉を濁した
やっぱり何か言いたげで
少し不安になってしまう


「月子がサッカー好きで良かった」
『へ?』
「俺はさ、あのまま諦めるかと思ってたんだ」


私だって、そうだ。
あのまま諦めるつもりだったの。
サッカーから私を離れさせようとサッカー部に着いて行くのをやめたり、関心をなくそうと周りの人に合わせた。
大丈夫だと思ってたんだ
私はこのまま生きる事だけを考えれるって。

だけど、無理だった
私はサッカーを諦めたんじゃない、逃げたんだ。

そして今日、向き合えた気がするの。


「月子は弱いようで強いな」
『…矛盾してるよ?』
「俺が、ヒロトが、風介が、何もしなくても一人で向き合えたじゃねえか」


晴矢が私の頭を撫でると共に強い風が吹いて
目に砂が入り込む

倒れそうになると晴矢が支えてくれた。
そっと涙をすくってくれた指が温かい。


「目、擦るな」
『う…うん』


私の目から溢れた涙は晴矢の温もりから。

晴矢のせいかな
胸が熱くて、痛いんだ




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