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普通に、ありがとうと交わせば良いなんて
分かってる、分かってるんだ。
けれど…出来ない。
子供達の感想に素直に嬉しいに決まってる。


『…サッカーするのに男の子だとか、女の子だとか、関係ないよ?』
「でもサッカーは男しかしないじゃん?」
『私がしてるよ』


にこりと笑いかける
私は小さい頃から、あの3人とサッカーをしてきた
大好きで、大好きで、堪らないスポーツ。
サッカーボールに触れた初めての感覚は
今でも忘れない。
無我夢中にただ、上手くなりたいために転んで、怪我したあの頃。
痛かった、だけど泣き虫な私は泣かなかった
痛みは、今の強さになっているはずなのに。
今は、その逆だ。

体が弱いから、それでサッカーから避けて、逃げて、死に物狂いしてただけなんだ。

もう、逃げたくない。
私は思い出さないといけない過去がある。
強く、痛みでついた傷みも忘れる程の楽しさを。
頑張れる、乗り越える、自分の足で立てる強さを。


「おねーちゃんっ」


ブランコをこいでいた
女の子達までもが集まってきた。
すると笑顔で私に笑いかけて


「あたし達もサッカー、したいな」


嬉しかった。
サッカーは誰でも楽しめて、誰でも出来るんだ
やればやる程、身に付く技術と強さが体に染み込む様に。

だから、私も忘れていなかったんだよ。


「おねーちゃん、教えてくれる?」
『……もちろん!!』
「俺らにも教えてくれよ!!さっきのシュート!」
『うん、出来るまで教えてあげるよ!だから…』
「だから?」
『私より、強くなって、私よりサッカーを
好きになってね!!』


分かったと元気な返事が帰ってくる。

それから、私は出来る限りサッカーを教えて
子供達と一緒に転んで、笑って、蹴って、楽しんだ


忘れていた、1つのピースがはまる気がした。

私がサッカーと関わらないのは無理だと。
教えてくれたのは神様なのかなと。

神様なんて迷信かもしれない。
でもそれじゃ誰が気付かせてくれたの?

だから私は、私なりに、
サッカーが好きで、たまにはボールに触れたりして


もっと、サッカーを好きになれば良いんだよね。



見つけた、気持ち。




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