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「月子?」


聞こえる寝息に耳を澄ます
やっぱり寝てるようだ
月子が来てから、あの2人は余計にウゼ…明るくなって
月子も笑ってたから幸せだと感じていたのは俺達だけか?それとも俺だけか?

今日聞いた月子の言葉はそう感じていた俺には衝撃を受けた。
あのシュートからだと思う、あの日から段々と顔色が悪くなっていったし、何かしら自分で運動でもしたんだろうな。


ひとり解釈すると俺の携帯が鳴った。
ヒロトからだった。
通話ボタンを押し、耳元に近付ける。


[晴矢、月子は!?]
「今、家で寝てる」


俺がそう答えると焦っていたヒロトの声のトーンが元に戻る。
こんなにも焦っているヒロトの声は聞いた事がない

……ヒロトはどう思ってんだろう。
昔のあの時、サッカーをすることを月子に禁じた事を告げたのはヒロトだ。


「なぁ、ヒロトはどう思ってんだ?」
[なんのこと?]
「月子がサッカーした事に」
[……今日だってあの日から調子が悪くなっただろう?]
「まあな」
[正直、俺はこれ以上する事を止めるだろうね]
「…………。」
[月子がサッカーが好きなことは俺も痛いぐらいに知ってるよ、だけど……]
「月子はもうサッカーしねぇよ、多分。俺達が触れさせないようにしなければ、きっかけもないままならボールも見ない」
[何で分かるのかい?]
「確信はないけど、月子がさっき言ってたんだ、最後は諦めた表情してたサッカーを自分から消し去ろうとしてた。」
[ふぅん……]
「…ヒロトはそれで良いと思うか?」
[…………分からない]



ヒロトも分からないなら
きっと風介も答えを出さないままだろう。
したい事が出来ないのは俺は耐えられない
けれどしたい事をして、壊れるのも嫌だ
月子はこのままで良いのか、それとも好きな事を思う存分させるか。


月子が泣いた時、俺はどう声をかければいいのか分からなくて、ただ名前を呟くので必死だった
抱き締めた体は冷たくて、小さくて。
もう壊れてしまうんじゃないかと思った、だけど、優しく抱き締められなかった。
月子がどうすればいいか分からない。
俺がどうすればいいかも分からない。


考えても思考が回るだけに答えだなんて結局出なかった。




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