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家に着くのは晴矢のお陰で早かった。
けれど家に着くまでの間も間、散々だった

私は体を晴矢の成すが儘にして階段で登ってくれた
エレベーターは酔う事を学習してたのにびっくりだっ…


『うぷっ』
「…………。」


晴矢の顔は引きつっているが我慢してくれているのかな、申し訳ない。
マンションの部屋の鍵を晴矢は勝手に取り出し開ける。
ベットに下ろしてもらう


「吐き止めとかあるか」
『まだ、来たばっかだし…わかんな、い』
「…多分あるか、探すから寝てろよ」
『うん…』



晴矢は私と同じ目線を反らして立ち上がると押し入れを探し始めた
かなり落ち着いたと思うけれどまだ苦しい。
吐きすぎで胃が痙攣しているのかもしれない

それに、何故だか晴矢は怒っている…のかな。
言葉が痛々しい。

ぐるぐる頭がループするように頭痛や腹痛やら酷い症状。
折角、良くなった体なのに所詮は私の体だった
無理なんかするから、調子になんて乗らなかったら良かったんだよ。
自分を押し込めて、やりたくても我慢して、気持ちを閉じ込めてれば良かった

こんなんじゃ、また…
元通りになってしまう
3人と私だけ離れてしまう
そう思うと、前が見えない必死で嗚咽を洩らさない様に堪える。


「月子、薬見つかったー…って泣いてんのか!?」
『…、ないてないよ』


顔が見えない様にそっぽを向いて布団で隠し、視界を閉ざす
その行為に対し晴矢は私の体ごと半回転させられた
顔を隠している布団を引き剥がして来たので見られないために晴矢の顔を布団で隠した。


「おい……」
『………泣いてないよ?』
「嘘つけ」


晴矢の視界を塞いでいた布団をゆっくり剥がす


『でしょ?』


私は精一杯笑った
その時は、体の傷みも頭の傷みも全ての傷みが消えたみたいだった。
思考を無理矢理押し込めた感情で溢れそうで痛い

病院に居た時を思い出して、私は籠から出れない。
自分を労る事で、他人に同情を受けてたんだ。


その度に何回期待をしてたのだろう。
その度に何回嘘をつかれたのだろう。
その度に何回哀願をしたのだろうか。


私は、ずっと籠から出れない。
例え籠から逃げても追ってくるモノは居るのに。




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